第55話

「「「………。」」」




私も含め、3人で雀を茫然と見ている。それなのにそうさせた本人はなぜか胸を張って怒っていた。



「とりあえず冬陽に謝れ嘘つき野郎。ついでにお前の女がブスなのにも謝れ。」



怒り心頭といった感じの雀は暴言を吐き続けている。今言ったの、明らかに私がブスって言われたことよりも酷いと思うんだけど……



「ぶ、ブス?」



ほら彼女の方、頬を引くつかせてるし。ちょっと可哀そうなんですけど。彼氏に至ってはなぜか涙目で雀を見返すしかできないみたい。



無駄に顔が良い人が本気で怒ってると怖さも倍増だからかな。



「おい。」


「ヒッ、」



ひっくい声で催促した雀に、彼氏が情けない声を出す。催促するように雀が掴んでいる胸倉にやや力を入れると、震える口を恐る恐る開いた。




「ぶ、ブスですみませんっ。」


「あ?ちげーだろ馬鹿。」


「え、や、す、すんません!おい!」


「え、あたし?」



なぜか自分がブスですみません、みたいに言ってしまった彼氏が彼女を指さして。不思議そうに首を傾げた彼女を忌々しそうに睨んだ。



「け、消せっ、今の写真!」


「えっ、なんで!」


「いいから!」


「っっ、」



彼氏の怒鳴り声に、彼女が渋々スマホをいじる。

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