第2話
何かに惹かれるように、電車を降りれば、真冬の刺すような冷たい風が、私の顔めがけて吹き荒れた。
「ああー、寒い。」
そんな当たり前のことを呟いて、改札はどこか探してみる。
何もない駅。柵をまたげば駅の外に出れそう。人っ子一人いないそこは、中央に申し訳程度の改札口があった。
寒さに震えながら歩き出そうとしてふと、嫌な存在に気付く。
「……チッ、」
思わず舌を打っていた。私に持ち上げてくれとせがむその大きなバッグは、自分の身の回りの物全てが入っている。
故に、必然的に滅茶苦茶重いわけだ。
「あー、最悪。」
重い物を持つのは得意じゃない。腕力とかの問題じゃない。肩に重い物をかけた時、時折痣ができてしまう時がある。
痣は言いすぎか、なんていうのかな?打ち身?それは普通の人なら数日で消えてしまうだろう。だけど私は、ちょっとした軽い物でもすぐ痣ができてしまって、消えるのも1週間以上かかってしまう。
「っっ、」
自分の身体の習性。この間までは少し、嬉しいとすら思っていた。
嫌なことを思い出して、瞼が自然と下がる。
思い出すな。落ち着け。そう自分に言い聞かせる。
再び瞼を上げた時、強い私でいられるように、おまじないをかけるんだ。
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