第23話
そして、現在に至る訳だが……
「え?え、えー、」
目の前に突然現れた”侵入者”を見上げて、沖田雫は混乱しているらしい。
チラチラと恋人のようにくっついている犬を見ているあたり、不審者かどうか犬で見極めようとしているようだ。
その肝心の犬は、興味がないのか俺たちを一切見ず、ただ沖田雫だけを見つめている。その表情が我が子を見守る親のようで、犬らしからぬその表情に面食らった。
「お前、今日が何の日か分かってるのか?」
憮然とそう言った玲に、女は首を傾げる。つかここに3人も男がいるのにその寛いでいる体勢を直そうとは考えないのだろうか。変わっているなと苦笑が漏れる。
「今日は、迎……、」
そう言いかけて、玲を見上げたまま女は固まった。気付いたか?流石に。玲の見た目は当主独特のもの。この世にいる人間でこの様相をしている者はほぼいないだろう。
呆れた表情で見ている俺の前で、玲がゆっくりと動く。そして、目を見開く俺たちの前で、沖田雫に膝を折った。
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