第13話

その日は、雛のおかげで散々だった。



授業中、私に話しかけてきた雛。それが運悪く見つかって、先生にこっぴどく叱られた。



しかも一言すら発言していない私を差し置いて舐めた態度を取った雛が先生を更に怒らせてしまい、放課後の先生の教材準備の手伝いを言い渡されてしまう。



社会科準備室で2人きり、ホッチキスを手に書類の山を茫然と見つめる私を後目に、ホッチキスをぼっちにした雛はどっかの男と通話中。



とりあえず早く帰りたいけど、こいつはひっぱたいてもするような奴じゃない。一瞬すら考えなかった結果、雛の存在を諦めて自分一人で物凄い量を片づけることを決めた。



そんで結局、この時間。



先生が来る7時までかかるとか。解放された校門で、外の暗さに茫然とする私。それを置いて彼氏の車で走り去る雛。



あいつマジでクズ。友達やめようかな。




こんな美女2人を暗い道へ放り投げる河東もなかなかのクズだと悪態をつきながら駅へと向かう。



学校から駅までは、10分ほど歩く。有り余るほどお金があるならタクシー使うのにって程の距離だ。



なるべく歩きたくないのは、花の女子高生である私だって思うこと。しかも今日はホッチキス使い過ぎで前腕の筋肉が逝かれてるし。

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