第47話

「NATIはさ、もうその子にOKしてない?」


「は?」




ヘッドフォン越しのMAMEが小さく笑った気がした。MAMEの言葉に戸惑いしかない。



返事なんかしてない。逆に返事ができないからこうやってモヤモヤしてんだって。



だけど、突っ込む間もなくMAMEのキャラが俺のキャラをパンチした。


そこで気づいた。そういえばここ、EGGの中だ。



俺が相談しているMAMEはゲームキャラのMAMEで、声は彼女だけど実際に会って話しているわけじゃない。



だから気が楽だったんだろうか。滝川や三菱にすら相談できていないことを軽く言えたんだろうか。




「返事の意味ってそういう直接的な意味やなくてさ。比べる対象がEGGっていうのはどうかと思うけど、自分の生活の中に彼女を入れた時、めんどくさいなって思ったってことでしょ?それって結構前向きな話だと思うけど。そんなことも気づいてないとか。ないわ。」


「……言うねきみ。」



「正直、返事を待ってる彼女の気持ちも分かるしね。」




初めてかもしれない。MAMEがこんなに砕けて話してるのは。それに俺も。お互い敬語はあまり使わないけど、それでも俺とMAMEの間には超えることのない壁みたいなものがあったはずだ。

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