第47話
「NATIはさ、もうその子にOKしてない?」
「は?」
ヘッドフォン越しのMAMEが小さく笑った気がした。MAMEの言葉に戸惑いしかない。
返事なんかしてない。逆に返事ができないからこうやってモヤモヤしてんだって。
だけど、突っ込む間もなくMAMEのキャラが俺のキャラをパンチした。
そこで気づいた。そういえばここ、EGGの中だ。
俺が相談しているMAMEはゲームキャラのMAMEで、声は彼女だけど実際に会って話しているわけじゃない。
だから気が楽だったんだろうか。滝川や三菱にすら相談できていないことを軽く言えたんだろうか。
「返事の意味ってそういう直接的な意味やなくてさ。比べる対象がEGGっていうのはどうかと思うけど、自分の生活の中に彼女を入れた時、めんどくさいなって思ったってことでしょ?それって結構前向きな話だと思うけど。そんなことも気づいてないとか。ないわ。」
「……言うねきみ。」
「正直、返事を待ってる彼女の気持ちも分かるしね。」
初めてかもしれない。MAMEがこんなに砕けて話してるのは。それに俺も。お互い敬語はあまり使わないけど、それでも俺とMAMEの間には超えることのない壁みたいなものがあったはずだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます