迷い

第38話

「今度こそ神引きするぞっつって気合いを入れたわけよ。そしたらどうなったと思う?」



「それなりの確定は引いたんだろうけどパッとしなかったんだろ?」



「すげーな滝川、なんで分かった?」



「俺はそれだけしても引きの悪いお前の方がすげーと思うわ。」




翌日、滝川の機嫌は直っていて、三菱は相変わらずガチャ運が悪かった。



休み時間の教室内はうるさくて、いつもの通り白金未知は彼氏と電話してるし河合ゆずは本を読んでいた。



いつもと変わらない。俺以外は。




「なぁ?関口。」


「あ?」




見れば、滝川と三菱が俺と目が合った途端、同時に顔を顰めた。



「なにお前、大丈夫なん?」



「EGGのし過ぎで寝不足とか?」



2人とも朝から様子のおかしい俺を訝しんでいるようだ。



そりゃそうだよな。自分でも自分がおかしいと自覚してるもんな。



だってしょうがなくね?自分でも信じられないんだから。




「ゆずー。電話終わったよ。」


「よくそんなに話すことがあるね。」


「学校違うって大変。すぐ声が聞きたくても電話しか手がないんだもんー。」



あの、河合ゆずに告られたんだぞ。



自慢とかじゃなく、これ、どうすればいいわけ?



『考えてみてくれない?』




そう言い残して昨日、河合ゆずは俺を教室に残して帰って行った。

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