完璧な彼女

平凡の中身

第1話

昔から、クラスで目立つ方じゃなかった。




それでもいいし、それがいいとも思う。




夏生なつお、この間デッドワールド、やった?」


「やってない。つか買わないし。」


「なんだよお前、まだあのゲームしてんの?よく飽きねえな。」


「やることいっぱいあんのに飽きるわけねえだろ。」





友達はそれなり。いつもつるんでるのが2人いるくらい。滝川たきがわ三菱みつびし。別に友達100人ほしいわけじゃないからそれでいい。


趣味はネトゲ。だけど俺がやるゲームは一つだけ。



今話しかけてきた滝川も同じく、ネトゲ廃人。こいつの場合色々なゲームに手を出しては飽きるを繰り返している。




「お前らよくやるよな。」


「お前に言われたくねえよ。」


「それ。」




呆れたとばかりに首を振ってみせたデブは、三菱。こいつはソシャゲ派。しかも家が金持ちなせいか病気レベルの重課金者だ。




俺たちの"共通点"はゲーム。




種類は違えど話題には事欠かない。





「購買行く?」


「あと10分しかないぞ。」





どうやら三菱は腹が減っているらしい。捨てられた子犬みたいな目で止めた滝川に訴えかけている。




「キモイ。」


「無理かー。」




そりゃそうだろ。美少女ならまだしも同性のデブにほだされる17歳なんていない。

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