第9話
「あっ、む、無理無理無理、」
「死ね。」
だけど私が写した写真は結局、新城奏と、おまけの綺麗な光。
そして、お説教するはずの隼人が、綺麗なイルミネーションの中でプロレス業をかけられている写真。
「ギブ。」
「キモ。」
幻想的な並木道。青に囲まれた奏は、結局どこまでも新城奏で。今まで気づきもしていなかった人たちは、その存在の大きさに漸く気付いて、”一般人”の奏を囲む。
「ねぇ。」
「あ?」
たばこをくわえて、楽しそうに死んでる隼人を見ている奏の、ご機嫌な瞳は、漆黒。
「帰ろう?」
「なんだ、気に入らなかったか?」
少し落胆を滲ませたその声に、陰りを含んでいても、その目は、ひたすらに私を見つめる。
「ううん、逆。気に入りすぎて帰りたくなった。」
「ゆいかちゃん、それ一周以上して気に入らなかったってことじゃない?」
「……黙ってろ。」
隼人にげんこつしても、その目は私を探る。
私はそれを、見つめ返すだけでいい。
幻想的な風景。それを目に焼き付けて。
ベッドで、奏の温もりを感じたい。
そう思っているって。
「……帰るぞ。」
「ん。」
絶対に、”読み取って”くれるから。
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