第2話

息を切らしている私。



ちょっと残念なんですけど。



「どこかっ、行く、は、」


「……。」



私が息を整えようと必死なのに、奏はなんだか嬉しそうに私を見ている。


人がこんなに苦しんでるのになんて態度だろう。



ほんとに、突発的に来るこのキスは一体なんなのか。



「……お前が煽ったからだ。」


「……。」



理由は分かってたけど。だけどその"原因”は分かりようもないわけで。



「ほんとに、原因を聞きたい。」


「なんだ、サービスしてくれるのか?」



嬉しそうに目を細める奏は、私の腰の辺りに指先を滑らせる。



「っっ、そんなわけないから。」



なんとかそれを振りほどいた私に少し残念そうだったけど、すぐに気を取り直したらしくて口元は意地悪そうに歪む。



「まぁ、狙ってすると半減だからな。お前のその無自覚が1番グッと来る。まぁ、あからさまに”誘う”のもアリだぞ?」


「っっ、」



耳元でそう囁いた奏の魂胆は分かってるから。今耳が黒焦げになりそうなほど火照ってるけど、そこは気付かないふりをしてやる。



キッと睨み上げた。



「……わざとでもクルな。」


「はぁ、」



どうやってもそうなってしまうのだけど。

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