コーヒー王国

温度小町というヒロイン

第1話

ここは、コーヒー王国。




万能の神ミルを祀る、信仰深く、繁栄を保つ国。



学識を深めたい者はこの国を訪れ、戦争で戦果を上げたいと意気込む者もまた、この国を訪れるだろう。





この国には、厳格で誰もが目を細め、尊敬の視線を送る王が存在する。



その者、わずかよわい16で即位し、この国を見事統治している。



歴代の王と比べ、彼が最高であると答える老人たちは少なくないであろう。




彼は生まれながらにしての王。自らにも臣下臣民にも厳格であり、慈悲の心も持つその者。




名を、ビター・ドリップという。





彼は先代の王を早くに病で亡くし、孤独に溺れずにその責務を果たしている。




そんな彼を支えるのは、優秀な臣下、そして、これから支える、彼女の存在。




一国の王を支えるのは、なにも臣下臣民だけではない。



彼のプライベートを支え、彼の王としての職務を支える。



そう、妃の存在である。





コーヒー王国は、他国の侵攻をものともせず、外交でも、戦争でさえも、すべての敵を跳ねのけて見せる力を持つ大国である。




そんな国の国王であるビター・ドリップ。まだ若いとはいえ、将来の伴侶がいないというのはなかなか体裁も悪く、彼を支える大臣たちは急いで妃候補を探した。

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