第16話

私も、それなりに成績は良い方だと思う。勉強は好きじゃない。だけどだからといって勉強をしないという選択肢は、境遇的に・・・・難しい。



だから必死に勉強して、学年30位以内には入るように、努力している。



だけど一花は違う。彼女が勉強しているところを最も彼女に近い場所にいるはずの私が見たことがない。私が勉強している横で持参したお菓子を食べながら私のベッドに寝転んで漫画を読んでいる、普段はそんな子なのに。



テストでは毎回、ほぼ満点を取り、学年トップを常に維持し続けている、まさに天才ってやつだ。




あの容姿に、頭の良さ、社交性も問題なく、性格も良いとなれば、人気者じゃないはずもなく。



だからなのか、愛想もなにもない私の周囲には常に人で溢れていた。それはもちろん、私が彼女の“付属品”だから。



良質な花に寄る蜜蜂の群れ。花に止まるなんでもない虫の私。彼女を前にすればきっとどんな人でもそうなるのだろうけど、やっぱり私は性格が悪いのか、気分は良くなかったりする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る