第14話

だけどそれをお互い気にしないことにして、うちと山田家はとても仲良くやってきた。



だからその子供同士である私と一花も昔からいつも一緒にいた。


家族旅行も基本一緒に。山田家に無理のないようにプランを組んでお互い楽しくできるよう、お父さんが気を使っていたほど。



私はそれを、嫌だと思ったことはない。会社の社長をしているお父さんと、普通の会社員の山田のおじさん。2人の接点が友人関係だけだとしても、あの年まで家族ぐるみで付き合える仲というのは羨ましいと思ったほどだ。



山田のおじさんはとても優しく、頭も良くて仕事もできるんだそう。ただ、おじさんは母子家庭で育ち経済的な面から高校を卒業してすぐに就職してしまったせいか、大学を出れていない。



そのせいで能力はあるのに役職的には少々物足りない地位にいる、と。



自分の会社だったらとっくに重役にしているのに、と、ビールを飲みながらお父さんが愚痴っていたのを聞いたことがある。



山田のおばさんはそんなおじさんを支えるサバサバした気持ちの良い人だ。



将来的には今の家を出ていかなければいけないことと、一花の将来の為にスーパーで働いておじさんを支えていた。

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