第13話
面倒だ。とても面倒。だけどそれが一花。今に始まったことじゃない。
「怒ってないよ。それに、うちに住んだ方が安心、だし。」
だから、否定したいところはきちんと否定しておいて、私は話を逸らす。
「本当?」
ぱぁっと明るくなった一花の表情。きっと突然ひとりぼっちになってしまって、心細かったんだろう。
「美音ちゃんが認めてくれたら私、とても嬉しい!」
「…うん。」
ぎこちなくだけど私、きっと笑えていると思う。これからもそうだったから。
一花は、おばさんに報告してくる!と、元気に声を張り上げて扉も開けっぱなしでバタバタと出ていく。
その扉を閉める私は、今どんな顔をしてるんだろう?
親が親友同士で、私が産まれる前から山田一家は隣の家に住んでいたらしい。
会社員のおじさんと、近くのスーパーでパートをしているおばさん。
私たちが住んでいる所は東京の中でもいわゆるお金持ちの人しか住めないくらい地価の高い地区なのだけど、うちを含んだ隣り合った2件がお父さんの持ちものなんだそう。
将来的に隣に、今は田舎に住んでいるおじいちゃんとおばあちゃんを呼び寄せるつもりで購入したらしく、それならその時まで親友である山田のおじさんに格安で貸そうということになったらしい。
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