第2話
「よく、降るな。」
誰もいない教室で、私の呟きが波紋を広げることもなく消えていった。
「はぁ。」
窓にぶつかる雨粒を見つめながら、また小さく息を吐き出す。
天気予報では今日の予報は晴れで、通り雨の兆候すら聞こえてはいなかった。
それなのに突然の、豪雨。
通り雨だとしても、今日はついていないと口を尖らせ濡れながら下校した生徒は決して少なくはないだろう。
購買部に置かれた気持ち程度の傘ももう売り切れているだろうし、素敵な親がいる子は車で迎えに来てもらっているかもしれない。
それほど、”ちょっと”濡れながら帰るには中々難しい雨足だった。
だから私の足は帰路につくことを拒否している。
そう言い訳をつけたいくらいには、今の私は家に帰りたくなかった。
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