第27話

「…フッ。」



……ん?



顔を上げれば、無表情がこちらを見ている。今誰かに笑われた気がするんだけど?



首を傾げて一度取り消し。一点集中で打ち込めば、ようやくちゃんとした値段が打ち込めた。



「お待たせしました!一括払いで。」


「ああ。大丈夫だ。」



蓮水さんが柔らかい声で答える。微妙に笑っているのを見ると慌てている私に怒らず、ちゃんと待っていてくれたらしい。


かっこいい上に優しい!



この容姿で傲慢の欠片も感じない柔らかい雰囲気に、すっかりファンになってしまった。



うちのオーナーとは大違いだわ。



そして結局、またケーキを包んでいる間にオーナーが店にやってきて張り付いていた。



だけど今日はちょっと違う。この間はいないものとして扱われていた店長は、しっかり店の外までついていっていた。そのまま帰ってこなかったのを見るとやっぱり、蓮水さんの伴侶は、オーナー?



…趣味悪。良い人なのに、女の趣味は悪いのね。ちょっとそこは減点だわ。

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