第74話 見つけた! 主人公ちゃん

 主人公最初のイベントは『初心者旅講義!』と言うのだ。12歳以下のテイマーなどを募って、そこでエレモンバーサスをしたり、実際に凄腕テイマーとかのバーサスを生で見たりする。


 正直、塾行ってるならこんなのやる価値あるかよって思うけど、あれだな。反復学習というやつだろう。



 本格的な旅を始める前にもう一度おさらいしようというのだ。この講義が終わると、道具とかを寄付してもらえる。






翠風町すいふうちょう





 と呼ばれる、清らかな風が吹き抜ける町に訪れた。和ノ国の霜月町の隣に位置し、山と風の文化が根付く静かな町らしい。


 風の力を信仰する風守神社がシンボルで、町全体が風を利用した装置や建築で満ちている。和ノ国の重要な交通拠点として栄えていて、多くのテイマーが立ち寄る場所でもあるらしい。



 この町は高台に位置し、風が常に心地よく吹き抜ける。町の周辺には竹林が広がり、風が竹を揺らす音が町中に響く。竹を基調とした軽量な建築が多く、風通しを考えた設計がされてる。


風守神社と言われる場所が町のシンボルで、テイマーの祈願が出来る。




「らしい」

『端的な説明に感謝ね。それで、初心者講義はどこで行われるのかしら?』

「あそこで受付してる」





 町の一角に大きな学校のような場所がある。「風影館」と言われるテイマーとエレモンのトレーニング施設らしい。




「あ、あの、受付……」

「はい、お名前と年齢、コードの数をお聞きしても?」

「……な、名前?」





 あ、これって偽名の方がいいかな? 




『偽名でいいでしょう』



 俺有名人だからなぁ!!! エレチューバーだし、今賞金首で10億円だし!!




『偽名にしておきなさい』



 そ、そっか。偽名か




「あ、えと。ライオンフィッシュ竹中って言います。11歳で、コードは0です」

「はい。え、はい? ライオンフィッシュ竹中くん? 11歳でコード0?」

「あ、はい」

「それ、偽名……まぁ、エレフォンは本物みたいですし……」





 お、なんか通してくれた。助かったぜ。ライオンフィッシュ竹中って名前も結構いい感じだしな。




『いい感じかしら?』

「ダメか?」

『ダメと言いたけど、まぁ、アンタが考えた名前なら文句ないわ。まぁ、ほら、ライオンって百獣の王っていうし、フィッシュは魚で美味しいし。まぁ、良い名前と言えばそうよね。竹中は意味不明だけど、まぁ、王が付けた名前ならOKでしょ、うん、おっけいー!』




うむ、やはり良い名前だったな。 島の森の名前も、神秘の森になっちゃったけど、パイナップルスイカの森の方が良かった気がするなぁ。




『全部のエレモンにテレパシーアンケート取ったら、64%くらいが反対だったのよ。36%が賛成なのに驚いたけど……あ、違った。64%が反対なのに驚いたって意味ね』





 ふむ、反対が居たのか。そうか、反対が居たのか……まぁ、ほら、好みはそれぞれだしね。

 




 さて、受付を済ませて中入ると……かなりの数が子供がいた。そう言えば、これが最初のイベントだったな。



 ライバル枠の弟くんもいるのか……あ、いたわ。ってことは、主人公ちゃんも……あ、みーつけた!



 凄いニコニコして、誰かと話してる。




『心中じゃ、めっちゃ周り馬鹿にしてるけどね。凡人は少し可愛い顔したら親しみを感じてうざいとか』



 

 へー、捻くれてるのかな? まぁ、才能がありすぎて周りから恐れられてた時期があったとか言われてるしね。



 途中から利用するために愛想良くなったとか、書いてあった気がする。




『まぁ、あんな感じなのね。大体わかったわ』




 まさか、心読める存在が居るとは相手も思わないだろうしね。テレパシーってもう才能とかの次元じゃないし。





『見ている分には面白そうな奴じゃない。才能があるっていうのも本当みたいだし』





  クイーンが才能あるって言い切るのだから、やはり本物か。





「皆さん、『初心者旅講義!』をそろそろ始めますよ!! 私、霜月カナエの言うことをちゃんと聞いてくださいね!」





 霜月カナエ。主人公が住んでいる町、霜月町の町長をしている。一見普通なんだけど、あれらしいな。国家の懐刀とか言われてる存在らしい。



 元ゴッドリーグテイマーらしい。



 クリア後に戦えて、全力を出すとレベル60後半エレモンを出してくる。この国にもガイア帝国とか見たいな組織がいるから、それらと裏で戦っているらしい。



 歳は24歳。





『ふーん。こう言うイベントとかも手伝いしてるのね。大変じゃない』

「実力があるテイマーとか、才能あるテイマーとかは目をつけておいて、後々、育ったら彼女みたいに治安維持のために活動をして欲しいらしい』

『なるほど、将来有望なやつを探してるのね。あぁ、和ノ国は全体的にテイマーのレベルが低いから、強いやつを集めるのに必死なわけね』





 カツタマ博士が俺に懇願をしてきた理由と重なる。彼女以外にもここには多くの試験管的な人がいて、新人たちを観察しているらしい。




「それでは! 最初はいきなりエレモンバーサスをやってみよー! バーサスが終わったら私達が後々フィードバックをしますからね!」





 クイーンは俺と主人公の対決みたい?




『まだいいわ。アンタが絶対勝つし。それよりヤヨイの実力がどのくらいの位置なのか見たいから、普通の相手と戦っている所が見たいわね』





 おけおけ。それじゃ俺は……あれ? 




「二人組を組んでくださいねー!」





 ふむ、ぼっちか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る