第46話 博士視点
信じられない。
僕の眼に飛び込んできたのは、黄金の龍。蛇のように長い尾、しかし、太い胴体。そして、その大きさは途轍もなく大きい。
13メートルはありそうなほどだ。
まさに、龍。
星を作り出すほど、エネルギーを持っているエレモン。スタードラゴ。
──この眼で初めて見た
アムダ様はテラゴラムとウミノゾアを融合させて、スタードラゴを顕現させた。
しかも、2体も!!!!
いやいやいや、やばいでしょう。わかる、あの存在感で、神話や伝説であり他のと違う圧倒的な強さを持っていることが。
見た目で人を判断してはいけないと言われる。しかし、あのエレモンは見た目だけで強いと悟らせられる。
横に居るだけで、震えが止まらないほど身の危険を感じてしまう。あの龍からしたら、僕の命など塵と変わらぬ程の小ささであろう。
「スサマジイ……」
ファラン王が思わず尻餅をついてしまった。確かにその気持ちはもっともだ。あの龍の前では全てが小さく見えてしまう。
思わず、自分を保っていられないほどに小さくなって、距離感がわからなくなってしまう。
「……ッ」
敵国のエレモン。ディザスターと言ったか。あれも興味深いけど、この龍の前では流石に恐れをなしているのか、小刻みに震えているように見えた。
しかも、2体いるから。
ふふふ、アムダ様、本当にあなたと言う人は興味が尽きません。素晴らしすぎる、星を作るエレモンは一体だけ、と言われている。
にも関わらず、2体保有してる時点で凄まじい!! あぁ、本当に面白くて素敵で最高の気分です!!!!
「あは、あははあ」
「……ナゼ、笑ウ?」
ファランが不思議そうに僕を見ていました、
「だって、こんな素晴らしいを見て、気分が上がらない人はいないでしょう!!! ククク、これは研究対象として素晴らしいです!!」
あは、自分の想像を超えるものってどうして惹かれてしまうのでしょう。これは、本当に伝説を超えてしまっていますよ!!
──スタードラゴ2体の攻撃により、ディザウスターは地面に引き摺り下ろされた。
「あのブレス、多分、威力を抑えてましたね」
「手加減シテ、コの威力カ……ッ!!!」
スタードラゴは大分威力を抑えてスキルを使っているのでしょうね。本気で使ったらこの星が崩壊する。
そうすると、歴史の神とか、秩序の神とか色々出てくるから気を遣ったのでしょうか?
「アノ黄金龍が祖先が目指シタ星か」
そういえば、ファランの一族がジーググラモンを作った。それはスタードラゴを捕獲するため、だったですかね?
皮肉ですね。その末裔がジーググラモンから始まった戦火、それを止める為に力を借りたのは
そのスタードラゴを2体を持っている化け物だなんてね。
「確カニ、ジーググラモンと似タヨウなエネルギーヲ感じる」
確かに迸るエネルギーのようなものが酷似している。だが、申し訳ないが彼女のジーググラモンとは天と地の程の差がある。
アムダ様のエレモンは、全てステータスが圧倒的に高い。多分、育て方のの問題だろうけど。
ステータスが違いすぎる。
だから、あのスタードラゴもジーググラモンも通常個体よりも高くなって、強く育てられている。
あれに、どうやって勝てと言うのだろうか。
今まさに地面に叩きつけられているディザスター。このままスタードラゴが戦うのかと思ったが
アムダ様のエレフォンから
【雷神】が飛び出した。バチバチと帯電しているエレモン、背中に雲のサークルのようなのが浮かんでいる。
顔つきはトカゲで肌黒く、血液が通うように体中に雷の管が走っている。
「マサか……戦の申し子カ……」
ファランは何か知っているようだが……いやいや速すぎるでしょうに!!!
爆発的な推進力、そこから剛腕による殴打。ディザスターは暴走モードというのに入っているのに、
お構いなしに殴りかかっている、
「……ッ」
「ヴォル!!!」
雷神が通った場所は電気が滞在している。保有している電気が途轍もなく大きいのでしょうね。
ラッシュ、ラッシュ……縦横無尽に、唯我独尊に、超圧倒的に敵を殴りつけていく。
スタードラゴほどの圧力は感じないが、それでもその強さはLランク。
「戦の申し子と言ってましたね。知っているのですか?」
「戦イの部族……ソの中で数万年に一体ダケ現レル【雷神】。タッタ一体だけで、数万の軍勢を退ケル力を持っている」
そりゃ強いはずですね。バチバチと雷の音がこちら側に聞こえてくる。速すぎて見えない。
「【二番】」
アムダ様にはあの攻撃が見えているのですか……化け物過ぎる。なぜ、あの攻撃の最中に支持をできるのでしょうか。
あちら側は指示ができない。速すぎて追えないのだ
「……こりゃ、過剰戦力ですね。何回でもそう言ってしまいます」
雷神、僕も見たことのないエレモンですか。あとで血液採集をしたいですね!!!
結果は見るまでもありませんし、語るほどでもないのですがね。
あの後、敵国は逃げてしまった。ディザスターを回収もせずに……騒ぎを聞きつけたファランの国の使者とかも来ましたが……アムダ様を見て戦慄していた。
明らかにヤバいエレモン連れてますし。話しかけづらいですよね。
色々と話し、敵国から守ってあげたことを説明し、あっという間に別れがやってきます。
「……色々世話にナッタ」
「いえ、別に」
「ディザスター、オマエに任セル。傷だらけダがオマエなら、問題ナイ」
「そうですか……了解」
「……妾のジーググラモンも頼ミタイ。少し気性ガ荒イが良い奴ダ」
そう言うと、ファランはアムダ様のエレフォンに不思議な板を被せた。アムダ様はわかっていたように頷く。
「良いの? ジーググラモン居ないと」
「……ハハハ、本当に参っタ。ソコまで知っていたか」
どういうことなのだろうか。ファランは悲しそうに笑っていた。
「どう言うことなのですか?」
「ファランは長い間眠りについていた。どうして死ななかったと思う」
「え? どうしてって……」
「ジーググラモンの永久のエネルギーを分けてもらっていたからだ」
「……ソの通りダ。妾は本当なラ死んでイル。いや、既に死んでいル。今は死体が話していルようなモノだ。だが、もう良イ。妾の国が滅ぼされる未来は消えタ」
少しずつだが、彼女の体が崩壊していくように見える。
「……未来でまた会えるよ。転生みたいな概念がちょくちょくあるからさ」
「本当カ? 疑わしいガ……いや、オマエが言うならそうかもナ」
「具体的に言うと考古学者してる」
「本当カ? なら、頼ミがある」
「また?」
「最後だ、聞けヨ」
「だって、また会えるかもじゃん、その時にまた頼まれそう」
「ククク、面白いやつダ。未来の妾にジーググラモンを会わせてやってくレ……」
アムダ様はやれやれみたいな感じで頼みを承諾した。
「モウ一個頼みたイ」
「ええー」
「妾は……家庭を持ってみたかっタ。子供と、夫と未来を歩いてみたかっタ。ふふ、男などいたこともなかったガ」
「未来ならいると思う……いや知らんけど」
「……イイ男が居たら紹介してやってクレ」
「……まぁ、気が向いたら。でも俺ぼっちだよ。人間の友達はいなくてさ」
アムダ様がそう言うと、彼女は笑った。
「……またな。アムダ。アリがとう。嬉しかっタ」
そう言って彼女は消えてしまった。その後、タイムマシンで僕達は帰還する。時計型のタイムマシンを起動すると、再び景色が変わり始める。
「アムダ様、この後あの国はどうなるのですか?」
「そもそも、ファランは王じゃなくて王の代理なんだよね。ディザスターに滅ぼされた未来では王族が死んでたから代理で王を名乗ってただけ。でも、今回で王は兄がやることになってるはず」
「そうなんですか」
「……まぁ、結局滅びることには変わりなんだけどね。ただ、彼女の一族は生き残るんだよ。兄、現在の王の子孫……それが、生まれ変わりのファランになる」
アムダ様はナゼそこら辺まで詳しいのでしょうか、興味が尽きません!!
「約束だから、会わせるくらいはするさ」
なんだかんだで、優しいんですね、この人。偶に超生意気ショタになりますけども!!!
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