第14話 流れ着く者

 モエとチカとホテルで泊まった後に、俺は島に帰った。島に帰って、4000を超えるエレモンが住みやすい場所にしたい


さて、80万を手に入れた俺だが一度島に帰ってきた。種子を大量に仕入れてきたのでここから島を発展させて行きたいと思っているのだが……




ゲームでは【島クリエイトシステム】と言うのがあり、エレモンに植物を育ててもらったり、装備とか、家とかを作ってもらえたりする。



ただ、ここには色々とポイントがある。植物などは植物系の系統のエレモンが好ましく。よりよく、短い時間で育つ。



ゲームとどこまで同じかわからないが、今回は80万で種を用意している。これを育てるエレモンは



「ファームモン! ガーディモン!!」

「ふぁむ!」

「がでぃ!!!」






 ファームモンは、果物や野菜を育てる力を持つエレモン。見た目は植物と動物のライオンが融合したような姿で、体のあちこちに果実や野菜の一部が生えている。




 顔は優しい表情をしており、背中には小さな畑のようなスペースがあり、そこからも様々な植物が育つ。




 ランクは【C】。



 ガーディモンはファームモンの進化系と言うこともあり、姿は似ている。大型ライオンが二足歩行で歩いて、背中に大きな枡みたいなの背負っており、そこに土が詰まっており野菜が生えている。


 ファームモンの進化個体なのでランクは【B】





「よーしよし! この島を発展させるため、お前達の力を借りたい! 他の植物系からも力は借りるが先ずはお前達だ! この種子を預ける! 沢山植えてくれ!」

「ふぁむ!」

「ふぁむふぁむ!」

「がーでぃ!」




 うむ、やはり何を言っているのかわからんが肯定はしてくれているらしい! ファームモンとガーディモンはゲーム時代でもお世話になった。


 島を発展させる際、エレモンの力を借りるのだが植物を育てる際は植物系エレモンの力が必要不可欠なんだ。植物は育てると売ったり、エレモンに持たせてネット対戦で使ったり、色々と出来る。


 だからこそ、植物系は重宝していたのだ。高レベルになるほど植物を作るスピードが上がったり、純度が高いのが実ったりするからね。


 ファームモンは殆どが70から90レベルで一体は120にしてる。ゲームのストーリーなら70レベル一体だけでもクリアは余裕だ。それが50体いるのだから圧巻の光景だ。


 ガーディモンも同じように50体。一体だけ120レベル。他個体のレベル帯も似たような感じだ。



 ゲームでは、個体それぞれに役割が与えられていた。例えば、ファームモンは植物を育てるのが得意なのだが、種子から苗までが特に顕著なのだ。


 逆に進化系のガーディモンは苗から先、実をならしたり、花を咲かせるのに特化している。


 なので、ファームモンに先に苗まで育ててもらった後、ガーディモンに育ててもらうのが純度の高い植物を育てるのが通例である。






「がでぃ」

「ふぁむ」



 まぁ、今回は本当に未開拓の島なので耕したり色々あるので両者の力を同時に借りるのだけどね。


 テラゴラムが作った島は思っているよりも大きい。だが他にも植物系のエレモンは居るしな。なんとかなるだろ!!


 俺のエレモンは強いしな!!




「だが、お前達だけに働かせ、主人の俺が手伝わないわけにはいかん!! 俺も種子を蒔くぞ! その前に土を耕す!!!」




 ──俺は島を発展させるために駆け出した!!!!





 今回は賞金分、全部種を買った。これをまず埋める。ファームモンやガーディモンと共に、埋めるのだ。武者マルなども手伝ってくれる。




「クイーンは……」

『アタシはしないわよ。クイーンだし』





 埋めるのは美次みつぎの町で買った種である。大量に仕入れているので育つのが楽しみだ。





──沢山植えたので、少し休憩した







「あ、俺種子を埋めてくるからファームモンとかの所行ってくる」

『だから、王がやるべきなの? そういうの?』

「だな! 王だからやるよ! クイーンはどうする?」

『アタシはクイーンだからパスよ。アンタの頭の上で観察させてもらうわ』




 クイーンは相変わらず頭の上で佇んでいる。最初は俺の前に現れなかったのはやはり、他のエレモンの言語理解をしていたからだろう。




『そういえば、アンタに言いたいことがあったの』

「なに?」

『一部のエレモンがレベルダウンしてる』

「……どういうこと?」

『そのまんまの意味よ。アタシはレベル120あったでしょ? でも今は108しかないわ。アタシ以外にもレベルが下がっているエレモンが沢山いる』




 マジか、せっかく育てたエレモンがレベルダウンしていただなんて……



『まぁでも、無事なのも居るわよ。ざっと計算したけど、2000体ぐらいは無事でレベルも限界突破のままよ』

「そうなのか、知らなかった」

『テレパシーによるとこっちの世界に引っ張られた時に、力が抜ける感じがあったらしいわ。アタシもあったけどね』

「くっ、折角俺達で積み上げてきたレベルが……限界突破のレベル120も苦労するのに」

『まぁ、アンタならすぐに戻せるでしょ。それにいくらレベルダウンしてもアタシとかの力はこの世界じゃ破格でしょ』

「負ける要素ないな。正直、ゲームなら70でも一匹いればストーリーはクリアできる」

『余裕じゃない』




 装備とか道具とか使えば、本当に一匹で余裕なんだよな。そう考えると確かに問題がない……だが、それはそれとしても悲しい!!!


 すぐさまエレモンのレベル回復にも努めないといけないな!



「レベルダウンはどの程度なんだ?」

『個体によりけりね。アタシみたいに108で止まったのも入れば、50とか90とか、数体だけ【卵】に戻っちゃったのもいたけど。でも、意識はちゃんと持ってたわ』

「卵ともテレパシーできるのか」

『アンタと早く顔合わせたいって言ってたから、孵化させてあげなさい』

「はい!」

『良い返事ね、流石はアタシのキングね』



 あ、俺ってクイーンのキングなのか。知らなかった。



「うーん、レベルダウンは個体差あるのか」

『あんまり悲観的な考えはよくないわ。ヴェルディオンと大会優勝したんでしょ? 力の総力なら間違い無く世界一よ。それにアンタもテイマーとして優秀だしね』

「俺はまだまだだよ!」

『ヴェルディオンが言ってたわ。あの大会でダントツにテイマーとして優れてたのはアムダだってね』



 うわぁぁあ!! 嬉しいーーー!! そんなふうに思ってくれていただなんて!!!


「ふぇぇぇぇ、嬉しぃぃぃ!」

『こら! 王がそんな間抜けな返事をしない!!』

「はい!」

『流石はアタシの王ね。良い返事だわ』



 あ、俺クイーンの王だったのか、さっき知ったな。



『何度も言うけど、レベルダウンは全体の二分の一よ。殆どはレベルを保ってる。アタシと同じランクでこの島を作ったテラゴラムもレベルは120の限界突破を保ってるしね』

「なるほど」

『この世界でLランクを持ってる時点でヤバいやつなんじゃない? 戦力的には問題ないわ』

「確かに!」

『なら、あとはアタシ達のレベルを戻す! それとこの島を発展させてちょうだい。アタシ温泉とか欲しいの。クイーンだし』



 へぇ、クイーンだと温泉が欲しくなるのか知らなかった。


『あとあんたも、いつまでも寝袋で寝るのもあれでしょ。私達を優先してくれるのはありがたいけど、あんた自身の家とかもいい加減作りなさいよ』


 確かにな。俺も家があったら嬉しいけども……今はエレモンを優先したいな。


『自分も優先しなさい! 王なんだから!』

「お、おう……。でも寝袋でも俺平気だし」

「あのね、エレモンたちだってあんたが病気とか怪我しないか心配になるんだからね」


くっ。そういわれると弱いな。無駄に心配はかけれない。




『王なんだから! ちゃんと良い家を作りなさい! なんだったら城でも控えめなくらいよ!』


 そ、そうなのか? 普通に一軒家の方が嬉しいんだけど……まぁ、前世だとずっと病院の病室だったから自分の家も欲しいなぁ


 しかし、クイーンのおかげでやるべきことが明確になってきた。



 島の発展だけでは終われない。それに加えてレベルダウンしているエレモンの回復だな。戦力的には問題ないかもしれない。


 ただ、俺達の思い出が無くなってしまったみたいで悲しいぜ!!


 早急に取り掛からなくてはならない!!




 レベルダウンで進化から退化してしまった個体もいるんだ。進化に特別な道具が必要なエレモンも居るし。


 道具集めが必要だ。それもお金が必要だ。やはり大会には定期的に出ないといけないな。




『アムダ、アンタは王でキングなんだから自覚しなさいよ』

「はい!」

『返事だけは──アムダ、誰か来たわ』

「え?」

『漂流……誰かが、流れ着いたって連絡きたわ』






 マジかよ、誰かがこの島に来てしまったと言うことか。急いで向かおう。



 天気は晴れになっている。最近、大雨でもなったか? それで漂流したとか?




「あれか」




 船が流れ着いている。大きさはそこまでではない。人員は一人だけに見えるな。




 白衣を着ている……男ではなさそうだ。あれは女の子か、背丈は俺よりも高いが小さめに見える。



 船に近づいて中を見た。やはり乗っているのは一人だ。




『一応、イクリプスにいつでも出れるように言ってるわ。下手人だったら……』




 うむ、確かによく見ると影が少し揺れている。これは一体全体いつから、仕込まれていたんだ。


 敵を騙すには味方からと言うけどまさにその通りだな。



 さて、この幼い子に話しかけるか。適当にあしらっても良いけど、一応、どう言うルートでここに流れ着いたとか、聞いておいた方がいいからな。





「あ、この人……エレ塾で担任だったラリラ先生だ」





 そこに居たのはエレ塾の担任、ゲームでは名前しか聞いたことがないラリラが流されてきていた。




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