第12話 反省会(アムダは祝勝会)

 エレ塾の同級生と先ほど再会した。影に入っているGランクエレモン【イクリプス・ファントム】がビビらせた事ですっきりとした展開にて終わった。



 さて、そんな俺は現在スーパーで買い物をしている。




「アムダ君、子供だよね。じゃ、お酒飲めないか」

「チカ、貴方も子供でしょうに……それにしても、この半額シールとは、な、なんですの?」





 目の前ではライバル枠と主人公が仲良くスーパーで夕食を買っている。一方で俺はクイーン(人の姿)と手を繋いで後ろを歩くだけだ。



「えぇ!? モエちゃん、半額シール知らないの?!」

「え、そ、そうですが」

「さすがゴッドリーグ夫妻の娘、金持ちだね! えっとねー、このシールが夜になると貼られてすると、半額になるの」

「……別に定価でもよろしいのでは?」

「うわぁ、誕生日に島をもらう女テイマーは言うことが違うわーー。ういわー」

「ういわ!? なんですのその単語は」




 そっか、主人公も既に島もらってるのか。俺も持ってるけど……俺のはテラゴラムが作ってくれたやつだけども。




「アムダ君、イヴちゃんはアレルギーとかあるの?」

「お、俺も、この子もな、ないよ」

「おーけーおけー。モエちゃんは何もないよね」

「はい、ありませんわ」




 主人公はどう考えても金銭感覚がまともなわけがないよな。買い物かごに色々入れてレジに持っていった。



「ワタクシ払いますわよ。これで」

「お買い上げありがとうございます」





 モエがさっさと払って、商品を袋に入れて外に出た。俺は帰りたいのだが、なかなか言い出せないである。言ってもさっきはダメと言われたし。





「あ、ボクホテル予約してるから行こうぜー!」




 チカが予約しているホテルにほぼ強制的に入れられた。シングルベッドの大きなお部屋だ。




「へへへ、凄いだろ! 優勝するつもりで予約したからね!! まぁ、3位だったけど」

「3位でも素晴らしいと思いますわ。チカが頑張った結果でしょう」

「そ、そうだよ、オンリーワンって言葉あるから」

「2位と1位に言われるとこんなイライラするの不思議ー」




 びきびきって感じの青筋が浮かんでいる気がする。フォローしたつもりだったんだけど……




「はい、食べましょう! いただきます!」

「いただきます」

「い、い、いたあきまぁす」

「……」




 チカとモエはぱくぱく食っている。お、俺も食べるか……う、うわぁ、親以外と人間以外と一緒に食べるの初めてダァ……




「そう言えばさ、アムダ君はなんでそんなに強いの?」

「……えっと、運が良くて」

「いやいや、運でどうやってあそこまでなるの? ヴェルディオンめっちゃ強かったじゃん! 強すぎじゃん!」

「へ、へへ、あ、あざす……お、俺のエレモンは最強だから」




 チカがそう言ってくるから、ニヤニヤしてしまう。褒められるのは嬉しい




「モエちゃんも気になってたよ」

「流石にエレ塾の同期がここまで上だと気になりますわよ。エレモンに対する指示も独特でしたし」

「ねぇ! 前2とか言ってた! スキルも番号で呼んでたよね!」

「あ、はい」





 グイグイ近づいてくる……



「なんだよぉ、逃げるなよぉ!」

「そうですわよ。ただ、お話ししたいだけですのに」

「あ、そ、そうですか」

「……」





 ピンチの時にクイーンがやはり動く。ぐいっと引っ張って俺をガードしていた。



「ああ! 妹に取られた!」

「可愛いですわね」




 ふふふ、さすがはクイーン相変わらず痒いところに手が届く。食事が終わると、チカは立ち上がって脱衣所に向かった




「あ、のぞいちゃダメだぞ?」

「え、えと興味ないから、大丈夫です……」

「おい、そう言う言い方やめろよ! 傷つくだろ! こっちは美少女なんだから!」

「あ、はい」





 からかいたかったのだろうか。チカは風呂に向かったのだろう。




「さて、アムダ君決勝でワタクシが負けた理由はなんだと思いますか?」

「え、えと、俺達強かった?」

「まぁ、そうなんでしょうけど。もっと他にあるでしょう? ワタクシの指示が的確でないとか、エレモンの育て方とか」

「えっと、モエさんのエレモンはよく育っていたと思うよ」




『それに、信頼関係もちゃんとあるみたいよ。脳内読んでおいたわ』




は!? 急にクイーンからの援護が!? 後ろから抱きついているだけだと思っていたがちゃんと話を聞いているのか!




「し、信頼関係もちゃんとあって最高かと」

「そうですのね……」

「別にモエさんが悪いとか、無かったと思います。むしろ、い、一ヶ月半でここまでなの、さ、才能」

「へ、へへ、そう言われると照れますわね……でも、貴方に負けましたわ」

「そ、それは単純に俺がめっちゃ強いから」

「あ、そうですの」




 急にしゅんってなった。





「アムダ君、そう言えばワタクシ達連絡先を交換してなかったですわよね?」

「あ、はい」

「もしよければ……交換しませんか?」

「え、あ、えと」

「無理にとは言いませんの。因みに連絡先交換用QRコードを出しておきますわ」





 これ見よがしに連絡先を出されてしまった。どうしよう……あんまり交換したくないけど。


 まぁ、しゅ、主人公だし。い、いいかな。良いって言うまで終わらない気がするし




「あ、はい」

「やった、えと、これをこうして……はい、出来ましたわ。何かあったら呼んでください」

「う、うん」

「へへへ、ご飯とか奢りますわ!」

「そ、そう」





 両親以外の人間と初めて連絡先を交換した。前世でも病室だったから、この主人公で人間は三人目か……





「おーいー! あがったぜ! 次どっち入る?」

「お、俺は、ま、まだ」

「ではワタクシが」




 チカが出てきたので、今度はモエが風呂に向かった。脱衣所に向かう最中、なぜかこちらを向いた。




「ワタクシはアムダ君がのぞく方とは思わないので何も言いませんわ」




 さて、風呂上がったばかりのチカはなぜかトランプを差し出してきた。




「勝負しようぜ! ババ抜きだ! イヴちゃんはちょっと待っててね!」

「あ、はい」

「さっきはボロ負けで泣かされたからね!! 今度は泣かしてやるぞ!」




 トランプか、人とするのは初めてかもしれない。



「ククク、さっきは泣かされたからね? ボコボコにして、泣かせてあげる! ボクだけ泣いたのは納得いかないからねぇ? これがしたいから今日ホテル呼んだんだヨォ? のこのこついて来ちゃって、哀れなアムダ君」




──数分後




「わうあああああああああああああああああああ!!! また負けたぁあーーーー!!!! うわぁぁぁぁぁあああ!!!!」

「あ、えと」

「なんで!? なんで全部避けるの!? ジョーカー絶対引かないじゃん!!!!」

「イカサマしてないです」

「してるでしょ! カードに細工してるでしょ!! うわぁぁっぁぁ」





 クイーンが後ろからテレパシーで俺の補助をしているのは内緒だ。チカが泣いているとモエが風呂から上がって来た。




「どうしましたの?」

「トランプ負けたぁぁぁ」

「あ、そうですの。よしよし」

「ううぅ、負けた時に優しくされると余計に泣いちゃんだけドォっぉぉ」





 お風呂入ろう。泣いているチカを無視して、クイーンとお風呂入って、ちょっとゆっくりした





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