【元世界ランキング1位】がモンスター育成ゲーム、主人公の【歴代最弱ライバル枠】に転生する
流石ユユシタ
地ノ国編
第1話 エレモン転生
俺はずっと病弱だった。貧血でよく倒れるし、外で友達と遊べない子供であったのだ。
入院をしている時の方が多いくらいだった。常にベッドの上で窓の外を見ている。それがずっと続いていた。
見舞いに来てくれる友達などいないし、いわゆるボッチで一人きりである。だが、不思議と寂しくはなかった。
「あの子の親ってお金持ちらしいけど、見舞いに来ないのね。お金だけ振り込まれてるらしいわ」
「弟さんとか妹さんが優秀でそっちばかり応援とか世話してるらしいわ」
──親も俺より弟とか妹とかのほうが大事みたいだったみたいだけど……寂しくなどなかった!!
なぜなら【エレメンタルモンスターズ・パラダイス】と言うゲームがあったからだ!
所謂、モンスター育成ゲームだ!!
色んな要素が入り混じっている所も面白い素晴らしく、いつまでもプレイしていても飽きないゲームなのである。
──ずっとずっと、ずぅっと高校生までやりこんでいた
病弱なのが悲しくないくらいに楽しかった。高校三年生の卒業式の前日夜までやりこんでいたくらいなのだ。
そして、少しだけ、体調が良くなり卒業式だけは出来ることになったの着慣れない制服を着て、学校に向かっている時
──突如として意識が重くなった
道端に倒れて持っていたゲーム機を放り投げてしまった。ありえない、俺がゲーム機を手から離すだなんて……それを拾おうとするが体が言うことを効かない。
「あ。ああ……」
言葉もうまく出ず、ゲームが拾えず最悪の気分だ。こんなに最悪な気分は味わったことがない。
そのまま、俺の意識は暗転することになる。ゲームオーバーみたいに頭の中は真っ暗だった。だけど、これから先は存在しないことはわかった。
これはゲームではなく、現実だから。
◾️◾️
「こら、アムダ!ご飯食べたらお皿洗う!!」
「はーい」
「【エレモン】でも出来るのに! アムダときたら!」
「あーい」
「ガブガウ!」
と思っていたら、大好きなモンスターの世界に転生した!? お、おい! ありのまま起こったことを話すぜ!?
病気で死んだら、大好きなゲームの世界に転生していた!? 【エレメンタルモンスターズ・パラダイス】、通称【エレパラ】の世界にだ!!
な、なんて素晴らしい事態なんだ!
おおう! ガブガブモン! 可愛いな! 転生先のお母さんが
やっぱり自分で捕獲したいよなぁ。
「
「アムダ、
ゲームだと捕まえたら問答無用で言うこと聞いてくれるけど、設定上はそうなっている。つまり、ゲームみたいに捕まえるだけではダメだと言うことだ。ちゃんと力を示し、仲間にならないといけないのだ。
ふむ、夢があるじゃないかぁあ!! いいね! 今までは設定としか存在していないかった部分がちゃんと現実に反映されている! 最高かぁ!
「ママ、エレフォン買って」
「うーん、そうねぇ。【テイマー】の資格がないとねぇ。勉強ができないと資格取れないわよ」
「大丈夫。エレモンなら余裕」
エレモンを
まぁ、ゲームやりこんだ俺なら……絶対取得できるけどねぇ!!?
「ならアムダ、【エレ塾】入りたいの?」
「入る! 【エレ塾】入る!」
【エレ塾】。エレモンの捕獲などの資格を得るために通う教育育成期間だ。6歳から通うことができて、10歳になったら資格試験がある。
そこで合格すれば、エレフォンを買う資格を貰えて、テイマーとなるのだ!!
「あら、アムダやる気満々ね」
そりゃね。気分も上がるよ! めっちゃやりこんでたゲームだぞ!!
そう言えば今の俺の名前って【アムダ】って言うけども……【エレパラ】の主人公の【歴代最弱ライバル枠】と同じ名前なんだよなぁ。
同姓同名の可能性もあるけども……うーん、見た目もそっくりだよね? しかも、【近所に主人公が住んでる】し。
こりゃ、絶対今の俺は【歴代最弱ライバル枠】と言われる【アムダ】になってしまっているなぁ。
まぁ、良いんだけどね!!! この世界に来れただけでも俺は最高だからな!!
【エレパラ】人気ゲームで沢山シリーズが発売されている。毎回主人公にはライバル枠が近くにいるんだけど、アムダはその中でも最弱と言われている。
俺としては結構好きなキャラだったけどねぇ。ちょっと不良っぽい感じとか可愛いなと思った。
──まぁ、今の
でも、この世界なら問題ない!! 楽しい生活が始まるぞい!!
◾️◾️
6歳になったので【エレ塾】に入塾した。周りを見ると全員、小さい子供だらけだ。
【エレ塾】と言われるが正直小学校に近い。教室の作りもそっくりだしね。
──ゲームだと、資格は既に取得している状態の主人公を扱うんだよな
まぁ、当たり前だけど設定で資格が必要だからと言って、プレイヤーに資格勉強させるわけがないよな。
「はーい。皆さん、今日から講師を務める【ラリラ】でーす。よろしくお願いしますー」
「「「「「よろしくおねがいしますー!!」」」」」
「──よよ、よろしくおねがい、します……」
は!? 周りの元気な子供の挨拶に圧倒されてしまって、小さい声でしか挨拶ができなかった……
まぁ、前世からそうだし、今世も友達もいないし。ぼっちなのは仕方ないよね!
【歴最弱ライバル枠】のアムダは昔はガキ大将みたいな感じだったらしい。ただ、俺の前世の記憶が戻ったのって【5歳】の時なんだよね。
そっから、マジで陰キャになっちゃったし。本当なら主人公みたいなネームドキャラと知り合いもいる設定なのに、ずっと家に引きこもりだったから一人もできていない。
ははは! ここまで拗らせていると笑えてくるぜ!!
そんな、【主人公】なんだが俺の隣に座っている。可愛らしい女の子だ。【エレパラ】は男女性別を選むことができたのだが……この世界では女の子になっているらしい。
名前は【モエ】がデフォルトネームだったはずだ。
赤い髪、ツインテールに縛っている綺麗な顔立ち。うーむ、確か設定だと10歳になってから旅を始める、6歳だとこんな感じなのか。確かにゲーム資料とかで見たことあるキャラの面影があるような気がする。
「はい、では自己紹介をお願いしますー」
担任【ラリラ】が子供達に自己紹介を促す。あれ? あの担任の人ってどっかで見たことあるような?
あ、【ラリラ博士】か。名前だけは聞いたことある。実物はあんな感じだったのか。ゲームだと名前だけのキャラもちゃんとこの世界に存在しているんだなぁ。
「では、わたくしから。ワタクシは【モエ・ドレア】と言いますわ。以後お見知り置きを」
「彼女は【ゴッドリーグテイマー】、【グレン】さんと【ホムラ】さんの娘さんでーす。皆さん、彼女から多く学ぶことあると思います」
そう言えば、遺伝子最強一家が主人公だったわ。歴代主人公全部、お金持ちの家系なんだよね。
それに比べてライバル枠である俺は一般家なのだよ!!
「次は……誰に自己紹介お願いしようかな?」
「はいはい! ぼくする!! 名前は【チカコ】でーす! ぼくはぁ、めっちゃ強いテイマーになりますー」
【チカコ】と言う少女は主人公である【モエ】の隣に座っている。俺は窓際、その隣に主人公、更に隣に【チカコ】が座っている。
【チカコ】は【アムダ】と同じで主人公の【ライバル枠】である。【モエ】は一番最初のシリーズの主人公だが、ライバルが二人いて、二人とも幼馴染だったのだ。
どうやら、ゲームと同じでチカコとモエは幼馴染で仲がいいらしい。自己紹介を終えた二人は気さくに話している。対して俺は窓際は端っこの席で黙っている。
「モエ、負けないからねぇ。ぼく、ぼっこぼこにするから」
「ワタクシも負けませんわ。お父様やお母様のようなテイマーになりたいですもの」
本当なら俺、アムダも幼馴染ライバルだったけども、ずっと人と縁を紡がなかったので、ぼっちなので今も誰とも話す気配がない。
それにしても、俺と言う転生者を除けば【ゲーム知識】はほぼ完璧だな。
記憶通りに人間がいて、人間関係を構築しているとは。
「ねぇねぇ、モエはエレモン何を捕獲したい? ボクはねぇ……極マルかな!」
同じライバル枠であるチカコの声が聞こえてくる。
【歴代最弱ライバル枠】と言われるアムダ。それと同じライバル枠であるチカコの方が強いとはよく言われていた。【アムダ】は歴代最弱って言われてるからね。
まぁ、廃人ゲーマーで、ネット対戦とかずっとやっていた俺からするとストーリーのテイマーの使用するエレモンはどれも変わらないんだけども。
やっぱり廃人は【ネット対戦】とかするために作り込んでくるしね。逆にストーリーは誰でも楽しめるようにしてるから、そこまで強力なのは出てこないし。
「えっと、それじゃ、最後に自己紹介お願いね。銀髪で青い瞳で、黒いマスクをしている君」
「あ、ははい」
あ、俺だ。呼ばれてしまった。
「え、えと、あ、アムダ、です、よよ、よろしく……」
「えっと、見事な自己紹介ですねー。拍手」
ぱらぱらと気を使った拍手が聞こえてくる。それに加えて、どう考えてもコミュ障なのでバカにしたような視線も一部飛んでくる。
「あいつ、声聞こえねぇよ」
「昔、ガキ大将してたやつだよ、ほら、アムダ」
「あぁ、今はあんな感じなんだー。エレモンバーサス、あれだけには負けなそう」
「エレモンも絶対弱いのしか捕獲できないだろ?」
「マジだっさい」
「あれじゃん? 弱者男性みたいなやつ、ママがすっごい嫌いって言ってた」
くっ、まさか小学一年生くらいの子供にバカにされるとはね……
そんなこんなで、【歴代最弱枠】に転生した俺の……エレモン生活が始まる。ここで資格をさっさと保有してやるぞい!!
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