苦しい、懐かしい、寂しい
労う私たち
SNSにて……
「……が新曲出してたよ」
「聞いてみるよ……なんか、すごいな。圧倒されるし、語彙力なくなる……」
「この3人組。何物?」
「たしか……作詞をしてるのが暦って人で、作曲が千尋とかいう人で……あとの1人についてはよくわからないよ。何もわからない」
※ ※ ※
「お疲れ様です、姉様。千尋。」
「そうだね、お疲れ様。」
「お疲れ様」
心を込めて作った曲を無事動画投稿サイトに投稿し終えて、私達はビデオ通話でねぎらいあっていた。今の時刻は深夜0時を回ったあたりか。
「出してまだ数分なのに、もうコメントが来てます……えっと、『安心する曲』、『とっても引き込まれました』と。ありがたいことです。」
「そっか、それならよかった。」
「……」
「姉様?」
「喜びに浸っていただけだよ。千尋、今回もありがとう。」
「……ひとえに、この姉妹の相性が良く、センスがいいからよ。私の力じゃない」
「謙遜してるの千尋?」
「……私はただ、暦の役に立てればいい。暦がやりたいことをやり遂げれれるのなら本望なだけよ」
約1年前から音楽を作るグループを結成し、自作の音楽をネットに投稿している。
メンバーは、私と妹の美波、ネットで知り合った自称通信制の高校に通う17歳の女子高生、千尋の3人だ。
はじめは、1人でやっていたが、今では3人でやっている。
「それで、次のはいつから作る?」
「姉様のお心のままに。」
「じゃあ千尋、明日から早速曲のテーマとかを考えようか」
「うん、いいよ。わかった」
「美波もそれでいい?」
「はい」
「……安心したら眠くなった。私は落ちるから、また夜くる」
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい。千尋」
千尋はいなくなった。
その瞬間、ビデオ通話を切る。その数分後、私の自室にとある来客がやってきた。
「もう寝なくていいの?美波」
「姉様。具合悪くありませんか?」
「ありがとう大丈夫だよ。夜更かしさせてごめんね」
今回も優しく頭を撫でてやると、目を細めて喜んでくれた。
「私も姉様の役に立ちたくて」
そう言ってくれ、私を慕ってくれる美波。
私が病に犯されているのを知っているから。
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