第8話

 お母さん達の住んでいる小さなアパートに移動して、お菓子を食べながら話を始めた。思わずキョロキョロと部屋を見渡してしまう。すると、私達5人の写真が棚の上に大量に置かれていた。さっきの駅で言っていたことが、嘘ではないとわかる。

「それで…なんで私を探していたの?」

早速本題に入った。私達がここにきた理由。

「お母さんに、伝えたいことがあったからだよ」

「伝えたいこと?」

お母さんは不思議そうに首を傾げる。

「「「「「お母さん、大好きだよ!!」」」」」

今まで1度も言えなかったこと。本当は、ずっと伝えたかった。私達のたった1つの想い。

「……私も、大好きだよ」

お母さんがまた泣きながら笑う。私達もつい貰い泣きをしてしまって、6人で泣いて笑った。


「今日はもう遅いし、泊まっていくでしょ?」

既に敷いてある7枚の布団を見て、私達は笑顔で頷く。今日のために買ってきたのだろうか。5枚だけすごく綺麗だった。

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