第2話

 『ハロー!…何?その拍子抜けしたような顔!せっかくわたしが見えたのよ?もっともっと、喜びなさーいっ♪』

 前言撤回。わたし死なないかも。多分こいつはドッペルゲンガーなんかじゃない。そうだ、夢だ。疲れてんだな。

『やだ、失礼しちゃうわ!わたしのこと夢だなんて言ってくれちゃって』

 声は聞こえるけど、頭に直接響くような感じ。口も動いていない。何これ。

『テレパシーよ。ちなみに、わたしはあなた以外の人には見えないから!そこんとこ、よろしくねー♡』

「うーん、やっぱり寝る前にあんな動画観てたからかなぁ。幻覚が…」

 何度も目を擦ったり瞬きを繰り返すが、そいつはわたしの視界から消えない。

 しかも、わたしの思考めっちゃ読まれてるじゃん。

『そうねぇ。さすがに、寝る前にホラー系の動画観るのはどうかと思うわぁ』

「え、見てたの?」

 あの時はまだこいつの姿は見えていなかったし、声も聞こえていなかったはずだ。

『見てないわよ。覗きなんて悪趣味なことしないわ。まあ…単純なことね。あなたの行動が、見ていなくてもわかるだけ』

 そう言ってそいつは、両目を隠す。そしてその隙に殴りかかろうとしたわたしの手を、見事に止めた。

『ほら、これでわかった?』

 わたしはまだそいつのことを疑いながらも、こくんと頷いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る