第10話
「ふ〜ん、なるほどねぇ。そんなの、もう告っちゃえばいいじゃん!いや、前から好きなんだろうなぁとは思ってたけどさ」
それができたらもう既に告ってるよ!とは相談に乗ってもらったし、さすがに言えず…。しかもバレていたみたいだ。
「…無理だよ。もしそれでフラれたら、今の関係が壊れちゃうかもしれないじゃん。避けられでもしたら私―」
『私』の後はあえて言わなかった。正しくは自分では、言えなかった。
「友達以上恋人未満の状態でもいいから、充玖の隣にいたいんだよ」
「充玖も聖夏のこと好きかもしれないよ?」
「それはないって。家族同然に育ってきた私のことを充玖はそんなふうに見てないよ」
話せば話すほど、どんどんネガティブな言葉ばかり出てきて悪い方に考えてしまう。
「あたしはそんなふうには思わなかったけどなぁ。だってさ、ダメだと思って告らずにいて、相手に彼女ができたら何か悔しくない?そうなるくらいだったら、告ってフラれた方が吹っ切れるし、マシだと思う。しかもそれで両想いだったらラッキー!っていう考えだな。まあ、あたしの場合、告ったのは大輝なんだけど」
思わず、「お前告ってないじゃんっ!」と言いそうになったけど、一応電車の中なので堪える。
「いや、こっちこそ話聞いてくれてありがとう。すごいスッキリした!私、頑張ってみるっ」
「うん、頑張れ!応援してるからさ!」
私が両手を拳にして意気込んだのに対して、穂南は白い歯を見せて笑った。…さて、そろそろ充玖達のところに戻るかな。そう思って立ち上がろうとした時。
「待って!ちょっとむこうも話盛り上がってるみたいだから、もう少し待ってだって」
スマホを見ながら穂南が言った。
あの2人で話が盛り上がることがあるんだ。
女子力の高い充玖とあまり喋らない大輝。共通点なんて思いつかない。
「何の話してるんだろうね」
「確かに、すっごい気になるわ」
私達は不思議に思いながら、また違う話をし始めた。
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