第二章 新たな仲間

第12話 作戦会議


 雷牙の宿敵、神道天音の仲間だった三谷恭一は警察官になっていた。正義を守る警察官にも関わらず、半グレ集団斬々抜断が経営する違法風俗のお得意様である。

 斬々抜断は龍顎市の中央区から西区、郊外を縄張りとする規模の大きな集団で、メンバーは60人以上存在する。しかし大きな組織故なのか、3つの派閥に分かれており、同じ組織ではあるものの仲は良くない。 


 ………


 女リーダー、羽々斬美琴はばきりみことを中心とする羽々斬派は約半数を占める。

 龍顎市に2店舗、表向きはポーカークラブとした裏カジノをしのぎにし、カジノで負けた人間には金貸しもしている。他にもライブやアイドルイベントの護衛、地下格闘の運営もしている。龍顎市の裏社会の頂点、炎刃組にみかじめを払い、敵を作らぬよう、上手く立ち回っている。羽々斬派は龍顎市との共存を掲げており、カジノは客が楽しめる程度には勝たせ、金貸しも闇金のような利息はとらない。他の2つの派閥は半々程度の規模である。


 周りを気にせず、我が道をゆく国綱派は国綱時頼くにつなときよりを中心に郊外の山にて大麻を栽培、龍顎市に麻薬をばら撒く外道だ。悪に振り切らず、炎刃組と友好的な羽々斬のことをよく思っておらず、いずれ乗っ取るつもりである。


 そして三谷の出入りしている裏風俗を生業としている叢雲派。麻薬やホストで借金をし、首の回らなくなった女性をつかいSNSサイトを活用した裏風俗を生業としている。また、行為を撮影し、会員制の動画投稿サイトで動画を流すこともしている。中心人物は叢雲大和むらくもやまと叢雲威むらくもたけるというとある田舎町出身の兄弟。独特の方言を使う。国綱派に近い考え方でありこちらも羽々斬のことは気に入らないらしい。

 常連であり、おそらく警察官の立場をつかい捜査などを優遇しているであろう三谷を狙うならば衝突は避けられない。

 三谷が裏風俗を利用中に乗り込み、神道の悪事を証言させる。それを録音するなどし、世間に広めるのが今回の作戦の外堀だ。作戦を練り上げ、強力なものにしていく。


 ………


 一通りの情報を聞いた後、咲衣がこたえる。


「録音ではダメだ。神道は力のあるやつなんだろ?捏造で片付けられると思うよ」


 その後、雷牙がこの前の配信者を思い出し提案する。


「俺が直接三谷と会ってあの日の真相をしゃべらせる、もう1人がその場に潜入してその様子を生配信ってのはどうかな?」


 それを聞いて零司が続く


「合成だのなんだの言われそうだが…どうやっても結局信じるやつは信じるし、信じないやつは信じない。雷牙の作戦でいけば音声と映像が撮れるから録音だけよりは信憑性は増すし、現実的にできそうな範囲だな」


 全員がこの作戦に納得した。

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