第70話

すっごく可愛くて、手に乗せたそれを食い入る様に見つめていると、俊ちゃんが横から覗きこんで、




『可愛いね。ひよりに似合いそう。買ってあげるよ?』




と、優しく微笑んだ。




でも、チラリと見た値札にビックリ。




(ここ雑貨屋さんだよね?0がひとつ多いんですけど!)




そう内心叫びながら、もう一度桁数を数えてみる。




やっぱり0が多い!




こんな高価な物を雑貨屋のオープンケースに陳列していいんですか!?




ジュエリーショップのガラスケースに入ってた方がしっくりくる様な金額のネックレスに、1人目ん玉飛び出してると、俊ちゃんがあたしの手からそれを拾い上げてレジに向かった。




あたしは慌てて追い掛けて、




『高いからやっぱりいいよっ』




と俊ちゃんの腕を引っ張るけど。




『ひよりに似合いそうだから、俺が欲しいの』




と、あたしの手をとって再びレジに向かう俊ちゃん。




(やばい。瞬殺された)




俊ちゃんの眩し過ぎる笑顔に、あたしはやられてしまった。









『はい』




小さなジュエリーボックスに納まったネックレスをあたしの手に乗せる俊ちゃん。




その俊ちゃんの顔を見上げれば、優しく微笑んでて。




あたしは人目も憚らず、俊ちゃんの胸元に顔を埋めて抱きついた。




そんなあたしの頭を、俊ちゃんは優しくポンポンしてくれて。




『甘えるなら2人きりの時にしてくれる?』




と、おどけて見せる。

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