最悪な出会い 「悪趣味な女だな。」

第1話

4月。



大学を卒業して、この春から新社会人になるあたしは、就職と同時に22年間住み慣れた街と実家を出て、今日から念願の一人暮らしをスタートさせる。




実家から運んだ荷物が新しい住まいに全部納まったのを確認したあたしは、玄関先で引っ越し業者さんにお礼を言ってから部屋に入った。




そして室内をグルリと見渡してから『ふぅ』と小さな溜息を吐き出す。




ふと、別れ際にパパから言われた言葉を思い出した。




『近くにコンビニがあるからって、怠けちゃダメだぞ?コンビニ弁当は体に良くないから、しっかり自炊するんだぞ?』




眉をハの字に下げて、心配そうに言うパパの顔が頭に浮かぶと、目頭がツーンとして温かい何かが込み上げる。




実家を出てまだ数時間しか経ってないのに、早くもホームシック!?




自分自身にそんなツッコミを入れてみる。




いやいや、感傷に浸ってる場合じゃないんだ。




早く荷物を片付けなきゃ。




意味もなく無駄に気合いのガッツポーズをした後、段ボールやショップ袋に詰め込まれた荷物の整理を始めた。








パパと一緒にアパート探しをして、2軒目に見に来たこの部屋を、あたしは一目で気に入って即決した。




もう少し色々見た方がイイと言うパパの言葉は全否定して、あたしはすぐにこの部屋を契約。




築2年と言う新築アパート。

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