第5話

「(………わ、)」







家に着くと、見慣れた人影が見え、視線が余所へうつる。




「おい、」





そらせた視線に気づいたその人影は、どんどん大きくなってくる。





「土産。持ってきたから、いれてください。」




その人は、白いビニール袋を手に提げて、頭を下げている。


(おい、の威勢は。)







「遠藤。来るなら、連絡してよ。」

 


「連絡したら、返さないだろ。」



「まあね。」



「即答すんな。」







ばーか、とか言いながら、頭をポンと一度撫でる。






「とりあえず、家あげろ。」




と。



偉そうに先導する遠藤。




「(…………情緒不安定か。)」






一房、先程撫でられた髪を掬う。








「何やってんだよ、華城。行くぞ?」



「……私の家だから。」









少し、熱を帯びているのは、きっと、歩いてきたせいだ。

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