第4章: 革命の胎動と新たな秩序
23 戦火の遺産
ルドルフ伯爵の財産を没収することが決まると、彼が莫大な資産を隠し持っていたことが発覚した。その財産は驚くほど膨大で、翔とフリーデリケはその金額に驚きを隠せなかった。
「こんな金額、一体どうやって手に入れたんだ……?」翔は目録を見つめながら頭を抱えた。「これほどの財産を築けるというのは尋常でないな。」
フリーデリケも同じように疑念を抱き、「ええ、普通の貴族がこれだけの財産を積み上げるなんて考えられません。何か裏があるはずです。」
と冷静に答えた。
2人はすぐに調査を開始し、伯爵の財産がどのようにして得られたものかを探り始めた。しかし調べを進めるうちに、次第に闇取引や不法な商売が浮かび上がってきた。財産の一部が、戦争相手のゼルトン国への食料密輸によって得た利益であることが明らかになる。ゼルトン国への食料の流出は、領内の食糧不足を深刻化させ、さらに貴族としての責任を裏切る行為だった。
「ゼルトンへの食料密輸だと……?」
翔は目を見開き、息を呑んだ。そして怒りに震えながら声を絞り出した。
「ゼルトンとの戦争が続いているこの状況で、どうしてそんな取引を……! 敵国に協力して私腹を肥やすなんて、絶対に許せない!」
彼は拳を握り締め、力強くテーブルを叩いた。
「こんな無責任なことをしておいて、何事もなかったかのように平然としていたなんて……!」
フリーデリケは冷静に頷いた。「ええ、この行為は確実に領内の信頼を裏切るものです。」
「これはもう、単なる裏切りじゃ済まされない……!」
翔の声は震え、彼の中で怒りが沸騰していた。
「あいつのような者が貴族だという事実そのものが、この国の恥だ!」
フリーデリケも険しい顔で頷き、
「伯爵が裏で敵国に協力していたなんて……これが戦争を長引かせた一因かもしれません。でも、これでゼルトンへの食料供給は止まりました。戦局が動く可能性があります。」
「そうだな、今が戦争を終わらせるチャンスだ。」
「財政を立て直すには、この戦争を早期に終わらせる必要がある。」
翔とフリーデリケは、戦争を早期に終わらせる方法を探るため、王国の諜報機関が保管している極秘文書に目を向けることにした。これまで公にはされていない情報が眠る書庫で、彼は手掛かりを得ようと慎重に調査を進めていた。諜報機関の文書には、ゼルトン国内の不満分子や反乱分子に関する情報が含まれていた。それを手がかりに、翔はゼルトン国内の状況をさらに分析することにした。
「もし、この文書にゼルトン国の弱点や内部の情報が載っていれば……」翔は低く呟きながら、厚い書類の束をめくっていった。やがて、1つの名前に目が留まる。
「革命運動の指導者……?」その名前はかつてゼルトン国で革命運動を起こし、失敗して亡命した人物だということが書かれていた。
「これだ……彼がゼルトンの内部から戦局を変える糸口になるかもしれない。」
「この男をゼルトンに送り返し、支援することで、ゼルトンを内部から崩壊させることができるかもしれない。」翔は提案した。
フリーデリケは考え込みながら
「内部の不安定さを利用するということですね。まずは同盟国と協力し、ゼルトンへの経済封鎖を行って暴動を誘発させ、その後に内部からの圧力をかける……現実的かもしれません。」
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