第49話
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(…えっ、)
「・・・何してるんですか。」
「何って、見ればわかるだろ。」
お風呂からあがると、ドライヤー片手に私を待ち構えている佐々木さんがいた。
「髪、乾かそうと思って。」
すでにコンセントに差し込んで自分の座っているソファの間を軽くたたいた。
ここに座れということだろう。
大人しく言うことを聞こうと、彼の指定したところまで足を進めカーペットに腰をおろす。
「お願い、します。」
「ん。」
という言葉を合図にブォーとドライヤーが音をたて始めた。
佐々木さんの手が私の髪に触れる度、自分の情けなさを痛感する。
“立ち直るのなんて、人それぞれだろ。”
そんな風に言ってくれるのなんて、佐々木さんだけだった。
周囲は、皆ずっと引きずり続ける私にただただ、呆れていた。
今日こそは泣かない、そう決めてたから涙だけは唇をぐっと噛みしめて我慢した。
(もう、やだ……)
自分が自分で嫌に、なる。
(もう、いっそ、)
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