第41話
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佐々木さんの家に着く。
先、入れよ、と促してくれる佐々木さんに曖昧に笑って。
何、飲む? と聞いてくれる佐々木さんに、んー、とかなんとか返事をして。
かばんを置かせてもらって。
カチャッという音を嫌に響かせて。
ベランダに足を踏み入れた。
手をベランダの手すりにかけてみる。
(風が、冷たい・・・)
その上に顎なんてのっけてみて、考えている、ふりをしてみる。
はぁ、と白い息を吐き思いを馳せようとしたが、
腹部にまわる腕によって、その行為は停止させられる。
肩に彼の重みを感じ、腹部の手に手を添えてみた。
(きっと、)
ギュッとさらに強い力をこめられ、
はぁ…と私のすぐ傍を彼の息が掠める。
(私は……)
「………秋乃。」
「……なんですか。」
来てくれることをわかってた。
(分かった上で、)
いま、こうしている…
(…弱くて、ずるい、女。)
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