第40話
「今日は、俺の家な。」
と言いながら、近くに止めていた車に私を促した。
「ちなみに、泊まりだから。明日、でーとしよ。」
なんて、軽い口調で私を誘惑する。
「佐々木さん、ありがとうございます。」
珍しく、素直に思いを伝えたくなった。
「おー。」
気のない返事に聞こえるが、彼の顔は微笑みというものを形作っている。
『照れてるんですかー。』
なんて、今日は言わないでおこう。
ただ、なんとなく、窓の外の流れる景色をぼーっと見ていた。
佐々木さんも、何か音を発することもなくただ前だけを見ていた。
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