第36話

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「では、お疲れ様でした。」




「おつかれー。何、結局佐々木さんに言われた分なんとか終わったの?」




「……はい。なんとか、終わりまして。」




「ははっ。それは、良かったよ。少し心配だったんだ。」




「お気遣いありがとうございます。実は、あの資料ほとんど終わっていたんです。私が作成したところなんて微々たるもので……。」




「……あー、なにそれ。やっぱ、かっこいいな佐々木さん。」



(そんなの、知ってるよ、)





ですね、なんてありきたりな言葉を返してみる。



やっぱ、なんて言われる佐々木さん、流石だな。








「おー。お前も佐々木さんの下についてすげー優秀だし。」

すげー、佐々木さんと天を見上げる先輩。





「え。それは、私の力も褒めてもらえないんですかー。」



じとーっと先輩を見据えてみる。





「はは。お前な………その余計な一言がなかったら、褒めてやらんでもないぞー。」





「なんですか、それ。素直になってくださいー。」





「……ほんと、お前いい性格してるよ。」




と言いながらめちゃくちゃ笑っている。





この会社は、とてもいい先輩方で溢れている。



心底そう感じた。





「じゃあ、お疲れ様でした。お先です。」




「おー、またなー。」





カタカタとパソコンに打ち込みながら、画面から目を離さずそう言った先輩。





よし、とかばんを握り直し、今度こそ仕事場を後にした。









(急がないと、)

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