第12話

「…そうですか。…あ。もうこんな時間ですよ。大丈夫ですか?」



時計の針は、11時を指していた。




「…やっぱ。お前いいわ。俺、お前のそういうとこ好きだ。」



「・・それは、どうもです。」



「・・はは。そこは、頬を赤く染めて嬉しいです。っていうとこだろ。」



そんな、無茶な。




「顔はどうにも赤くなりませんが、嬉しいのは本当です。」


(本当、かわいくない…私。)



「…おー。そっちのがお前らしくていいな。」


 

本当に、この人は…人たらし、だ。


(その言葉の方が、赤くなりそう…)



「…はい。ところで、もう11時ですよ?」



「んーーー、だよな。わかってるんだけど。」



珍しく、はっきりしない佐々木さんに、首を傾げる。



「眠い、ですか?まあ、私の家と反対方向ですもんね。」




佐々木さんと私の家は、会社が中間地点になるくらい正反対の方向にある。


それなのに、殆ど毎日来てくれている。




「あーー、…そうだな。それは全然いいんだけど。…今日、泊まってもいいか?」



(その意味を、)



「・・・大丈夫か。」



(わかっては、いるつもり…)




そうか、

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