第1話
仲のいい幼馴染がいるのって奇跡なんだからもっと大切にしなきゃ駄目だよ!!
私、
小学校二年生の頃に友達になった悠花は、大人びた顔からは想像もつかないほど、白馬の王子様が迎えに来てくれることを夢見る乙女で、部屋に置いてある二つの本棚には少女漫画がぎっしりと詰められている。
悠花がさっきの言葉を私に向かって言ってきたのは、確か三年前の今頃──でも、七月中旬にもかかわらず曇っているからかそこまで暑くない今日とは違って、冷房の効いた部屋でアイスを食べたくなるぐらい暑い日だった気がする。
何日だったかは忘れたのに、その時の悠花の声と表情は、衝撃を受けたからだろう、鮮明に覚えている。興奮した高い声が鋭い棘を含んでいて、上気した頬、睫毛の長い焦茶色の瞳の奥は嫉妬の炎がめらめらと燃えていて、これらのことに悠花が気づいていたのかは質問しない限り分からないけれど、私はすぐに気づいて心底ぞっとした。
多分というより絶対、悠花は
聞き馴染みのある鼻歌が耳に届いてはっと我に返った。機嫌がいい時に歌っていることが多いその鼻歌がぴたりと止まる。
「よっ灯莉!」
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