意識がインしました?それから………。

月宮 卯月

第1話 転生してました?

 初めまして私は父のキルクルス伯爵カイト・キルクルスの娘リビアン・キルクルスです。


 よく周りの人達にボーとしているっと言われるが、その理由が今やっと分かっりました。意識がちゃんと身体に繫がって無かったんです。

 何言ってるか分からない?まぁ〜そりゃそうですよね?

 いえね?私実は、異世界転生したんですよ。そうです、アノよくある剣と魔法のある世界に。しかも、スキルがあってダンジョンがある定番の異世界。


 そして今は、これまたよくある選定の儀式が行われてて、私は受けている最中なんです!!

 え?もう終わってる……?………っあ?本当だ……。

 いや~、でも……何で今なの?イヤ、思い出せて、意識もはっきりしたのは嬉しいよ?まだ三歳だし。でも、せめてもうちょっと早くしてほしかった………。


 何故なら、


「あ~ら、カイト流石貴方の子ね〜!ーーまぁ、私が産んでやったのに、出来損ないの子は出来損ないの“ハズレ”という事ね!!」


 化粧が濃く性格が悪い顔をした、派手なドレスを着た女の人が大きな声で話しかけて来る。


 周りの人達もクスクス笑ってコソコソカイトとリビアンの事を嘲笑した。


 誰この人?父様の事知ってるみたいだし、産んだって言った!?ッハァーーコレが私の母親って言わないよね!?嫌なんだがーー!!

 それに周りの人達もすっっごーーくムカつく!?何アレ!!しかも、儀式をやってくれた神官さんもかーー!!



「………マルチナ……、私の娘をそんな風に言うの止めろ……」


 カイトがそう言うと周りの温度が下がっていく。しかし、マルチナは気にしないで鼻で笑う。


「あら、本当の事なんだから仕方ないじゃありませんか?」


 マルチナはカイトとリビアンを見下している様で、不機嫌なのを隠しもしない、しかも汚物でも見る様な目で見てくる。


 カイトはリビアンを背に隠すようにして、マルチナに話し掛けるなと態度で伝える。


「それにしても……ソレをまだ処分してなかったんですね?」

「貴女にはもう関係ない事だ!」

「ッフン!何時までそんな強がりを言えるか、楽しみにしていますわ」


 マルチナはそう言い、背を向けて去って行った。


 マチルダが去って行くと、周りの人達も一緒に帰って行く。


 リビアンはカイトの服を少し掴み、ちょんちょんっと引っ張ってカイトを呼ぶ。

 ただそんな意識表示も、今までのリビアンがして来なかったので、カイトは驚き固まり目には涙が溢れてくる。


「?……っリビアン!?……っリア……グス。よ……よかっ……た……っ」


 カイトは力強くガバッと抱き締め、声を殺して暫くすすり泣く。


「………っと……さ?……」


 リビアンは声を出そうとしたが、思う様に声が出なかった。意識がはっきりするまで、声もまともに出してなかった事を思い出す。



 あーー、父様が泣き出しちゃった!?少し服を引っ張っただけで?………それはそうか……まともに話せないし、コミュニケーションも取れなかったから………。

 かなり心配させてたんだ……。でも……、これだけ大切に思われてるって………嬉しい…な……。


 でも、泣き止んで欲しいな。色々話したいし、ちょっと早くやらないといけない事あるから。

 それに……、さっきの人達ヤバイでしょ。アレから早く離れた方が良いよね?やっぱり……。


 父様に伝えたいのに………、声が…やっぱり出ない……。どうしよう………。

 父様ーー!!どうしたら私の言葉、伝わるのーー!

 と、言うか今までどうやって私の気持ちや考え分かってたの!?



 リビアンが声が出ず、どう伝えればいいか分からなくて、混乱しパニックを起こし始める。



「………ズッ、………リア…、あぁ、ごめんよ。大丈夫だから、落ち着いて?大丈夫、何か伝えたい事があるんだね?」


 リビアンがパニックに成りかけているのを感じた、カイトがゆっくり落ち着いた声で話し掛け、リビアンを落ち着かせる。


「すまない、リア。強く抱き締め過ぎたかな?」


 リビアンが大丈夫と横にゆっくり頭を振った。


 それを見たカイトは安堵し、嬉しそうに笑顔で話す。


「うん。それなら良かった。リアがこんなに自分の意思を伝えてくれ、って、嬉しくっ、てねっ?」


 リビアンはコクコクと頷き。心配させてごめんなさいと想いながら、カイトの頭を撫でた。


 そして、カイトの手を取り早く此処から離れようと促す。


「?此処から離れたいの、かな?」


 コクリ


「なら、家に帰ろうか。此処には、もう用はないから」


 コクコク


 リビアンが何か急がしているので、カイトはリビアンを優しく抱き上げて部屋を出る。



 父様、凄い!!よく私の言いたいこと分かったね!!

 取り敢えず声出す練習しないと!父様と話せないーー!

 家に帰ったら早速、練習しないと!!


 あ、後スキルを色々試して大丈夫だったら、父様にあげよう。……喜んでくれるかな?



 穏やかに、そしてとても愛しいという顔でカイトが聞いてくる。


「気合い入れて、どうかしたかい?」


 リビアンはその言葉に力強く頷き、ジッとカイトの目を見た。


「そっか。分からないが、頑張って。私に出来ることなら協力するよ」


 カイトの言葉が嬉しくて、リビアンは初めて笑った。



 ありがとう父様!!凄くカッコいいよ!!

 もう、コレは早くスキルを使って、父様を驚かせないと!?

 あっ、でも此処異世界だから常識違うだろうし、それにコレが普通だったら驚いてもらえない……。


 そう言えば………、あの母親らしい人が言ってた……ハズレって……?

 何でだろ?転生する時にちゃんとチュートリアルをしたから、イカサマでもズルでも無く、自分でちゃんと取ったモノなのに………。


 父様の事も出来損ないって………、今思い出しても、あの人と一緒に居た周りの人達……ムカつく、凄く腹が立つー!!




 リビアンがコロコロ表情を変えるのが、嬉しくて少し声を出して笑いながら、カイトが聞く。


「?今度は何か怒っているね?何をそんなに怒っているのかな?」


 カイトが笑ってるのは嬉しいが、アノ人達を思い出していたので、リビアンはムスーっとした顔になった。


「おや?私の可愛いリアが、そんな顔をしても可愛いだけだが?ーーーもし、さっきの一応君の母親の事を思い出して、怒ったりしているなら………、気にしなくていい。ソレは直ぐに関係が終わるからね」


 カイトが途中から真剣な顔でそう言い切った。


 ? リビアンはどうして、そんなはっきり言えるのか分からず、首を傾げる。


「フフ、大丈夫。直ぐに分かるよ。あぁ、ビックリしたらいけないから、先に言っておくね?………多分、私達は追放される。でも、安心して」


 そこで一旦言葉を止め、晴れやかな笑顔で。


「他の国の方が、楽しく……(遠慮なく)暮らせるからさ?」



 あれ?何か途中小声で……、こ、こういう時こそ、鈍感系主人公がやる、えっ?なんか言った?を発動する時!!ちょっと父様が黒……。じゃあ、無かった……。うん。気にしない。


 それにしても、アノ人達気にしなくて良いって事だよね?ソレは嬉しいな。でもね?父様………。追放って……どーゆう事?


 もう、今日は疲れて……、眠……く、なって……きた。う〜〜……、父様……今、背……と、ん…とんは……ダ………ダメ………。



 眠そうだったリビアンの背を優しくゆっくり叩いて、カイトは寝かしつけた。

 リビアンは安心仕切った顔で寝てしまった。


(クス、あぁ、こんな安心仕切った顔で寝るなんて………、今日はこの子の色んな顔を見れたな。それにしても、本当に寝てくれて良かった………だって)


 教会を出ると、其処には騎士達が待ち構えていた。




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 読んでいただきありがとうございます。


 何故かまた、新しいお話を書き初めてしまいました。


 他のお話と同じで、思いつき勢いで書いてます。

 面白いと思ってもらえれぱ嬉しいです。

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