第49話

会ったこともないはずの

顔も知らなかった彼女のことを

ずっと探していた



そんなわけないと頭では思うのに

心がしきりに彼女だと叫んでいる





この切なさが苦しさが彼女を離すなと

全身が軋むように叫んでいる




「はぁっ・・・」




胸が酷く痛む





「義一、大丈夫か?」




「・・・悪い、調子悪いみたいだ」



三夏が顔を覗き込んでくる




「もうすぐ終わるから

もう少し我慢できるか?」




「あぁ」




俺たちの会話を聞きながらも

後輩たちを見続けている翼




周りに俺の調子が悪いことを

悟られないようにしてくれている




何も言わなくても二人が

俺の考えがわかってしまうこいつら

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