第42話 結果発表

『は〜い日本エリアの皆様〜…? お待たせいたしました〜…。』


運営より伝えられていた時刻ちょうどになり、俺達それぞれの目の前に小型のウィンドウが現れたかと思えば、女神クレアトールの挨拶からそれは始まった。


場所は所変わっていつもの喫茶店【小鳥の止まり木】。集合時刻となりほかの面々も集まった為、再び個室へとやって来ていた。因みにアメさんは配信しておらずオフモード、あとで動画化する為にと映像こそ残しているものの、ここにいる全員で他のことを気にせずに結果を見届けたいとの事だった。



因みに女神クレアトールは何故か生配信かつ1人で結果発表を切り盛りしているらしく、日本エリアは最後である5番目。つまり他のエリアの発表を終えてから今に至る訳であり、語気にどこか疲れを感じさせるような声に聞こえた。やはり中身は俺たちと変わらない人間… なんだろうか、まぁ運営だもんなぁ。聞いたら答えてくれたりして。



『さてさて変に話を伸ばしても結果が気になる皆様のことでしょう。早速本題へと〜。』


『…思えばこの世界のイベントにこんなに多くの人数が参加しているのも初めてですねぇ〜。私感慨深いです〜。そういえば〜…』


本題に行くと言いながら5秒で懐古、脱線し始めた。俺自身過去のイベントは消化試合でしかなかった為、言いたい事は非常に良く分かるし気持ちもわからなくもないが、余りにも脱線が早過ぎるんじゃないだろうか。


共にウィンドウを見届けていた周囲の顔を伺ってみるも、皆同様な…なんとも言えないような顔をしていた。ウカだけはいつもと変わらず読めない表情であったが。



『…だったんですよ〜♪ …あっ。ごめんなさい〜発表でしたね。ついつい〜。』


体感5分ほどの懐古雑談を経て、ようやく本題の発表へと入るようだった。



『全部溜めても仕方ないので〜、上位入賞されてない人は上位発表後にウィンドウでまとめて出しちゃいますね〜っ。』


『ではでは今度こそ〜。 第5位からの発表ですよ〜。』



『…毎回これやるのいちいちめんどくさくなっちゃいましたっ。はい結果ドーン!』


1チームずつ丁寧に発表していくのかと思えば、投げやりな掛け声と共に、唐突に目の前のウィンドウが切り替わる。


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エリアイベント 最終結果


1位 チーム プリーデ 34977p

2位 チーム ジーク 27108p

3位 チーム トーマ 25812p

4位 チーム エンビ 25110p

5位 チーム シーカ 24301p


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俺達のチームは第3位、なんとか上位に残る事が出来たようだ。

点数差も表示されていた為、結構4位転落まで危ないところだったと分かる。



「え!? 入ってますよ! 私達!!!」


「やったぁぁ! 3日間頑張った甲斐がありましたね!」


この3日間でだいぶ距離を縮めたのか、テンション爆上がりでハイタッチし合うハルとアメさん初心者組の2人。見ていて微笑ましいものがある。



「少し危なかったっスね、センパイの顔に泥塗らなくてよかったっス。」


「ん、みんな頑張った。」


そして珍しく弱気な発言を残し、結果に対し安堵感を見せるダーシュと、これまたなかなか見れない少し表情の明るいウカ。経験者組だからだろうか、2人と比べてやはり落ち着いているように見える。ここまで対照的だとどこか面白いと感じるほどだ。



「皆お疲れ様、改めてだけど昨日参加できなくてごめん。いたら2位に…は難しかったかもしれないけど、ここまで喰らい付いたって結構無理したんじゃないのか…?」


「用事あったんなら仕方ないですよ! 元々そういう話でしたし!」


「私達みんなそのつもりで集まったチームなんですから気にしないでくださいね? 3位で満足どころか大儲けですっ。」


「事情は分かってるっスから問題ないっスよ! 好きで遊んでましたし!」


「さっきも言った。 気にしない。」


それぞれがフォローを入れてくれる。本当に良いパーティに巡り会えたものだ。



『いや〜すごいですね〜、 想定の倍はポイントを稼いでいてびっくりです〜。楽しんでいただけましたか〜?』


『イベントの報酬についてはこの後すぐに運営から案内のメールを出しますからね〜。上位入賞の人は都合を合わせる必要があるので大変ですけど〜… 要チェックですよ〜。』


『以上で〜 第一回エリアイベント結果発表を終わります〜。 報酬の受け渡しまでがイベントなので閉幕〜って終われないのは締まりが悪いですね〜、残念です〜…。ではでは〜運営女神クレアトールでした〜♪」



ウィンドウが消えるとともに視界端にメッセージの受信を知らせるアイコンが1つ。運営の報酬案内メールだろう。



こうして俺達は、なんとか上位入賞でイベント期間を乗り越えたのであった。

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