第8話 森の攻略

店員との会話に修正入りました。

見切り発車ですいません。



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「喋る…ゴブリン…?」


「ああ。噂だけどな。」


喋るモンスター。

居なかったわけではない。それこそコンテンツ終盤にいたモンスターには喋る者もいた。しかしあくまで名持ちネームドだ。その辺のゴブリンがしゃべっていいもんではない。

つまるところ明らかにであった。


本当に留意した方が良いのかもしれない。それこそシナリオに影響するようなクエストの可能性が出てくる話だ。



「こいつもどうだ、いい音が鳴るぜ?」


「…貴重な情報をありがとうございます。 じゃあそのかんしゃく玉もお願いします。」


「まいど。何度も言うが噂の域を出ないからな? 気をつける分には越したことはないって話さ。」


軽く笑いながら注意を促してくれる店員。支払いを済ませたタイミングでハルから連絡が来たため合流することに。この話は共有しておかなくてはいけなそうだと気を引き締めるのであった。



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「ん。トーマは要らないと思うけど。」


合流するなりそう言ってポーションを渡してくれるウカ。俺だって初見の相手は被弾する時もあるよ…



「良さげなポーション売りは見つかった?」


「むふ。その辺のよりはマシ。」


と無表情のままピースサインを向けるウカ。しっぽがぶんぶんだ。



「ウカ凄いんですよ〜? 売ってある中でも選んで買ってましたから!」


「勘。ハルには伝えられなかった。」


耳がぺたんと倒れる。こう見ると本当に感情がわかりやすいなぁ。



「ありがとなウカ、助かったよ。」


「むふ。任せて?」


尻尾を見るに機嫌は治ったようである。



「そうだ。共有しておかないといけない事があったんだ。」


「テント買えなかった?」


「先輩… 今度は私もついて行きますから大丈夫ですよ、?」


「なんで気を遣われてるんだよ…。 そうじゃなくてクエストの話だ。」


店員から聞いた話をそのまま共有する。



「えーっと、変なんですか?」


「しゃべるゴブリン、初耳。」


「俺も聞いたことないからな、用心した方がいいかもしれない、って話だよ。」


「私からしたら全部が初めて尽くしですからね… 気をつけますっ!」


むんっ、と両手でガッツポーズをし気合いを入れるハル。


あんま気負いすぎても疲れるから楽しんでいこうな?



「それじゃあやる事もやったし次の街へ向かおうか!」


「おー!」「おー。」


目指すはゴブリン、そしてその先の次の街である。イベントまでに着いておきたいなと1人、改めて気を引き締めたのであった。



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初めて街を出た時とは違い、今回はギルドカードを提示して門を抜ける。基本的に身分証明に使うことができ、提示する事で他の街にも出入りすることが可能になるのだ。


余談だが認定クエストを受けたタイミングで森を抜けることも可能である。その場合は他の街についても門前払いを食らうため経験者は誰もやらない。初心者でやってしまったプレイヤーはいるのだろうか? 気になるところではある。



認定クエスト、王国ルートと、森を目指す者は多い。今回の新クエストも経験者からしたら注目の存在だろう。余計に王国ルートを辿る人が増えていると予想される。

何が言いたいかというとめっちゃ人がいる。アプデ前では考えられない人口密度だった。こんな構図を誰が予想できただろうか。3周年にアプデが来てたくさんのプレイヤーで溢れかえるよ!だなんて誰も信じてくれないのがオチである。



当然森の入り口付近、浅い所には認定クエストの達成のために多くのプレイヤーが集まっていた。

ここで探しても他のプレイヤーとかち合うだけだとそのまま抜ける道のある方向の深部へと進む。



「ここから先はプレイヤーも少なくゴブリンの数が増えるからな、要警戒で頼む。」


「わ、分かりましたっ…!」


「索敵、するね?」


「頼りにしてるぜ。」


むふ。と少し笑ったウカは素早い身のこなしで木の上に登り、これから向かわんとする先を警戒しに行ってくれた。



「先輩、質問してもいいですか?」


「もちろん。要警戒とは言ったがすぐ戦闘に入れるようにしていたらそこまで緊張しなくて大丈夫だ。」


「ありがとうございますっ。 その黒いゴブリンとの戦闘に関してなんですけど、昨日と同じ動きでいいんでしょうか、?」


「基本的にはそれで大丈夫。 ただ相手も魔法を使ってくる可能性が捨てきれないから、そうなった場合は適切な距離を開ける意識をして欲しいかな。」


「距離…ですか、」


「こればっかりは慣れもあるかな… この距離ならサポートができて回避も間に合う。っていう距離を見つけて欲しい。最初は気持ち遠めが良いかも?」


「お力になれるよう頑張りますねっ。」


「気合いが入っているようで何よりだけど、ハルが楽しんでくれた方が俺は嬉しいから。気合い過ぎないでな。森を抜けるまで結構あるから集中しすぎると疲れるぞ?」


「んっ… またそうやって優しくするんですから…。」


「大切な後輩だからな。」


「もーいいですから!!! も、森を抜けるのにどのくらいかかるんですかっ?」


「ん、そうだな… ゴブリンにもよるけど大体2〜3時間くらいか…? 結構広いんだよこの森。」


「そんなにかかるんですか!? ほぇ〜…広いんですね…」


そう、AVOの世界は果てしなく広いのだ。

ログインしている地域によってエリアが変わる事からも察せると思うが、広大なフィールドが広がっている。公式が特に公言していない上に検証はできていない為、地球と比較することはできないがかなり近い広さのフィールドなのではないか、と噂される程度にはデカい。広すぎて説が出るくらいにはデカいのである。


なんて考えているとウカが戻ってきて報告してくれる。



「この先ゴブリン3、 やる?」


ふーむ。



「いきなり黒と戦うのもな、ハルの練習の為にも接触しようか。 ハルはやれるか?」


「もちろんです! やったります!」


やる気満々の後衛アタッカーがそこにいた。



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特筆するようなこともなく、3体のゴブリンは素材へと変わって逝った。

パーティとして安定してきている。いい傾向だ。



「ハル! だいぶいい感じだな!」


「ありがとうございます! …先輩なんかハイになってません?」


「ハル、トーマは戦闘狂。いつもこんな、だよ。」


「え。俺そんなにハイだった…?」


「自覚なしなんですか!? 目とかギラギラしてますよ?」


めっちゃ恥ずかしい…

確かに終焉龍とやり合っている時は気持ちハイになっている自覚はある。あれ楽しいし。

チームプレイで昂っちゃったのかなぁ… 後輩の成長も嬉しいじゃん… 戦闘狂ってだけじゃないはずだ。


そんな言い訳を考えているうちにウカはもう索敵へと戻っていた。言い訳できないじゃん…



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ゴブリンと戦闘しながら奥に進むこと1時間、森もだいぶ奥の方まで進んできていた。


今日中にゴブリンと遭遇するのは難しいか、せっかくだから森を抜ける前に終わらせておきたかったんだけどなぁ…



「トーマ。いた。」




異常ゴブリンは唐突に訪れた。

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