チョコより甘い☓☓☓ ~prologue~

第1話

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なんともお洒落なマンションの一室、都会の煌めく夜景をバックに、


やけに整った甘い容貌の男が、私のことを冷たい眼差しで見下ろしている。


別に、逃げようと思えばいつでも逃げられるというのに……。


その冷たい眼差しに、全てを囚われてしまっているかのように、私は、動くことも、眼をそらすことさえままならない。


そのことを分かっているかのように、その男は、焦らすようにして、こちらへゆっくりと近づいてきて。


無防備な私の顎先に指先を添え、掬い上げるようにして上向かせると、


「いいですねぇ……? あなたのような気の強い女性の、その反抗的な眼差し。ゾクゾクします」


怖いくらいに綺麗な恍惚とした表情を浮かべて、なんとも不可解なことを言ってくる。


凍てつくように冷たかった筈の瞳には、いつしか燃え立つような情欲の熱を宿していて。


その怪しく煌めく瞳に見つめられただけで、ゾクゾクと身体が粟立ってゆくから堪らない。


「ちょ……ちょっと、なんなんですかっ! 大きな声出しますよっ!」


そんなことを言ったところで、この男を悦ばせるだけだというのに……。


そんなことしか言えない私を小ばかにでもするように、その男は厭らしく片方だけ口角を吊り上げフッと一笑すると、


「無駄だとは思いますが。まぁ、いいでしょう。出せるものなら出してみてください。さぁ」


挑発するように、そういってくるや否や、私の無防備な首筋をグイと掴んで尚も上向かせる。


それが苦しくて、大声なんて出すこともできずに、苦悶の声を漏らしてしまった私の柔らかな唇は、


「……ぅっ……んん――ッ」


そらみたことかとでも言うように、フッと冷たい笑みを零した男によって、すべてを奪い尽くすようにして、乱暴に噛みつくように口づけられてしまった。


優しさも、息をつかせるような余裕さえも与えてもらえない、愛情の欠片もない冷たいキス。


それなのに、気づけば、囚われ、甘く淫らに翻弄されて、もう逃げられない。




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