【?? 味】愛する〇

 アイツと暮らし始めて一ヶ月になる。

 アイツも俺もこの生活には慣れてきた頃だ。

 1Kのこの部屋では多少手狭な気がするが、なんとかやれてる。


 共同生活ということで俺は色々と気を遣うのだが、アイツはどこ吹く風だ。


 俺の都合なんて関係ないらしい。

 腹が減ったら飯を作れと言うし、クッションの上で寝てると思ったら、いつの間にか俺の布団の中にいる。


 構って欲しいと、俺がキッチンにいてもベタベタしてくるくせに、俺がくっつこうとすると、そっぽを向けやがる。


 そのくせして、俺が帰ってくるとひょこひょこ出てくるところが愛くるしいし、俺が落ち込んでる日はやけに甘えてきたりするのがずるい。


 たまにお互いそっぽ向いてしまうけど、いつの間にか2人とも忘れてしまってる。


 アイツと出会って俺は、アイツのために生きているようなもんだ。


 でも、正直、誰かのために生きるって悪い気しないかも。

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