第84話

人形を咥え、クーンクーンと鳴く日々は1ヶ月半程の続いた。





ララの病院も、退院してから1週間後に行き、産後順調だったのでそのまま通院は終わる。





私は長らくお休みを貰ってた職場に復帰する。





暇な時は、早上がりをお願いした。





Sから度々来ていたメール。






Yが行った後、ずっと人形咥えて鳴いてるよ。

俺が抱っこしても鳴いてる。





Sも眠かったよね。

寝たかったよね。

早めに帰る。ごめん。





こんなやり取りをしていた。




私が帰ってもクーンクーン鳴く。



だか、抱っこすれば鳴かない。




ソファーで一緒に横になっても、私にお尻を向けながら人形は咥えたまま。





この1ヶ月半、ララはご飯やお水を飲む時、シャワー以外ではいつも咥えたままだった。




ララが実際、どんな気持ちだったかは分からないが




こんな気持ちだったんじゃないかって、少し理解出来る私になったのは




年が明け





春になり





散歩も行けるようになり





明るい時間が増えてくる頃。





ララが4歳になる数ヶ月前だった。

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