第82話

病院に着き、ララの元へ。






『ララ。』






名前を呼べば、こちらを向くララ。






『ラーラ。』





首元、耳後ろをくしゃくしゃっとすると喜ぶララ。





ララの入院は1週間。





それまでは毎日、お見舞いに来る。





電話での様子確認でも良いらしいが、私は来る。






ララに会いたい。






Sは1度も来ないが、私との関係は順調だ。








そして、ララが退院して我が家に帰ってきた日の夜だった。






今までほとんど遊ばなかったうさぎの人形。






それを咥え、私を見てクーンクーンと鳴く。





『ララ。おいで』








おいでと言っても寄って来ない。






私がララの方に近寄れば、ただただ私を見る。




クーンクーンと鳴きながら、私を見る。





『ララ。もう、いないんだよ。』




ララを撫でる。





『ララ。ごめんね。』




私の心臓近くで、ララを抱き上げる。

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