第59話

お店には連絡を入れてお休みを2週間貰うことにした。



実家でララは預かってもらえないが、病気の事と入院の事をはなした。




そして、ララは付き合っているSに預けることにした。




以前はひとり暮らしをしていたが、その頃は友達と住んでいた。



住んでる場所は、私が入院する病院から近場だった。




ソファーに座り、病気の事について貰った紙を眺める。




その紙をテーブルの上に乗せ、隣に座るララを抱き上げる。




私の心臓に近い場所で抱く。






『ララ、私より先に死なないでね』





私より長生きする事は無いってわかってる。




ダックスは14〜15歳くらいが寿命だと聞いた。




それでも、願うよ。

一緒に過ごしたいから。




私の病気はすぐにどうこうなるものではない。



レーザー手術をして、細胞を取り、その細胞内の範囲が収まっていれば手術は終わる。



収まっていなければ、円錐形に切り取る。


それでもダメなら、子宮を部分摘出か全摘出らしい。





放っておけば、数年後には亡くなってたと言われた。





『ララ、入院してる間、Sが住んでる所で少し待っててね。』





ソファーに横になり、お腹の上に乗せればララは伸びた体制になる。





ララを撫でながら話しかける。




『退院したら、すぐに迎えに行くからね。』




何を話しかけても




『暫く会えないの寂しいね。』





返事は無い。





でも、きっと理解してたのかな。




入院中、Sからララの報告や写メは来ていたが、1度も悪さはしなかったみたい。





迎えに行った時のララの姿は今でも覚えてるよ。




尻尾をブンブン振って、私に抱っこしてとジャンプしながら催促している姿。





1週間、長かったね。

ララ、ただいま。

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