第5話

『お姉ちゃん、名前何て言うの?』




私は制服に付けてあるネームプレートを見せ




『Oですよ!』



と笑顔で答える。




『あー、苗字じゃなくて下の名前。』




『Yです!』





『Yちゃん、今何歳?』





とっても不思議な会話だった。




何だろうか、この人は?と思っていると、カバンから何やら取り出し




『俺、こんな仕事してるんだよね。』





名刺を差し出してきた。





私は素直に受け取り




『お兄さん、Hさんって言うんですね。』




名刺を見つめる。





Hさんはスカウトマンだった。





私が住む地元、T区。




それよりも数十キロと離れたC区にある繁華街S。



そこで、水商売などのお店を紹介する人だった。




その時の私はまだ18歳になっていない。




『Hさん、私、まだ18歳じゃないんです。』




名刺からHさんの方へと視線を戻しながら話す。




『やっぱりかー。Yちゃんならどこの店でも紹介出来るんだけどな。』



立ち話しをしている私に




『O!フルの方行って!』




社員からの呼び出しだ。




『はい!』




その呼び出しに返事をして




『Hさん、洗車が終わってから声掛けするので、中でお待ち下さい。その時にまた話しましょう!』




Hさんにお辞儀をしながら、フルサービスの方に小走りする。

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