第34話

まだ俺が小さい頃。




5歳くらいまではユウカの事を『姉ちゃん』って呼んでたんだ。




でもいつからかユウカの笑顔が好きで



無愛想野郎に向ける笑顔が好きで




いつしか『ユウカ』って呼ぶようになった。




ユウカは何も言わずに返事をしてくれるし笑ってくれる。




俺は無愛想野郎だけ呼び捨てで呼ぶけど、無愛想野郎は何も言わない。




でも前に父ちゃんが言ってた。




『ヨウもお前の事、気に入ってるんだな。』



“アイツはいい奴だ。”




“俺の幼なじみの息子だからな。”




“色々、助けてもらえ。”




この時、父ちゃんの言葉の意味なんて全く分からなかった。




父ちゃんがなんでそんな事言ってきたのか不思議だったんだ。

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