第22話 話はとんでもない方向に?
アルパモント殿下の”私の目は誤魔化せないぞ”視線。
「君、ちょっと!何だかアルフォンそっくりじゃないか?あれ?その髪っておかしくないか?黒い髪なのに根本は白金じゃないのか?おい、良く見せてみろ!どうなってるんだ?」
アルパモント殿下はそう言ってルドルフをひっ捕まえるとルドルフの髪をわしゃわしゃ掻きむしって見る。
「いえ、これは‥その、染めてないから地毛が出て来ただけで…」
「何?地毛は白金と言う事か?ならば王家ゆかりのものだな?貴族名はどこだ?」
「そんなの知るわけないです。俺は教会に捨てられてた孤児ですから」
国王の顔色がさっと変わる。
王妃たちが「あっ!」と声を上げてルドルフをじっと見る。
3人の王妃はあっという間にルドルフを取りかもむ。
「あなた、その眉毛の下のほくろ…」アンナ王妃が。
「ええ、確かアルフォン殿下が生まれた時の双子の片割れが同じ位置にほくろがあったはず…」キャロン王妃が。
「双子は縁起が悪いからって、国王がどちらかを始末するって言う話になって…それで確か…ジャスミンの付き人が…」マリー王妃が。
「その子は死んだはずだ」そう言ったのは国王のアルパーシ。
「ええ、確かそんな話で‥でも、あなた年は?」
「はぁ?23歳ですけど」
「あの時の側近は誰?」
「確かイゴールでは?アルフォン殿下の側近ね。すぐに確かめなさい!」
アンナ王妃が叫んだ。
すぐにイゴールが呼び出された。
「イゴール!23年前アルフォン殿下の弟をどうしたのよ?あなたうそを言ったらただじゃすまないわよ」
3人の王妃は今度はイゴールを取り囲んだ。
「あの…今頃になってどうしてそのようなことを聞かれるんでしょうか?」
ビシ!
3人の王妃がルドルフを指さす。
「あれを見なさい!あの人アルフォンにそっくりでしょ。あのほくろ。私は覚えてるのよ。さあ、言いなさい。いい事イゴール!嘘は許されないわよ!」
イゴールは胃が締め付けられるのか胸の下を何度もさする。
「ジャネット様に涙ながらに頼まれたのです。何とか生かしてやってほしいと…私だって罪もない赤ん坊を殺せだなんて…国王は無慈悲です。私には出来ませんでした。だから王家ゆかりの教会の前に置き去りにしたのです。籠には誕生日と名前はアルドルフとは書けなくてルドルフと明記した紙をしたためました。それ以後その子の事はどうなったか知りません。というか知るのが恐かったんです。だから一度も見に行ったことはありません」
「「「まあぁぁ、やっぱり。あなた。ちょっとあなたよ。誕生日はいつなの?」」」
3人の王妃は今度はルドルフを取り囲む。
「はい、3月25日ですけど…そんなことあり得ませんよ。俺は平民の女が貴族に弄ばれて産み捨てられた孤児なんですから!」
ルドルフはそんなことあるはずがないと言い切る。
アンナ王妃がすかさず反論する。
「まぁぁぁ!間違いないじゃないわよ。あなた絶対国王の子供よ。だってアルフォンと同じ誕生日だもの、それにこのほくろ。見てごらんなさいよキャロン。星の形ってそうそうあるもんじゃないと思わない?」
「ええ、確かに。私も国王の子供に違いないと思いますわ。ねぇマリーはどう思います?」
「確かに、もう疑いの余地はないっと思いますわ」
「「「国王もそう思われますよね?これだけの証拠があれば違うとは言えませんわよね?」」」
3人の王妃は国王をじろりと睨む。
「ま、まぁ…イゴールが生かしておいたというならその可能性はあ…」
「可能性ですって?」
アンナ王妃に怒りは止まらない。
「あなたご自身がまいた”た種でしょう?それもわからないと?そんなだらしのない下半身だからこんなことになるんです!アルパモント!国王を今すぐ去勢してしまいなさい。いい事アルパーシ。あなたは金輪際女は抱けない身体にしてあげます。それが国家のためです。これ以上の醜態をさらす前に今すぐ去勢です!でしょう?皆さま」
「ええ、もちろん、賛成です」
「私も。これですっきりしますわ」
「近衛兵。アルパーシを連れて行きなさい。こんな人牢にでも入れてしばらく反省が必要よ」
そうやって国王はしゅんとなって近衛兵に連れて行かれた。
まさか牢に入れるわけにもいかないので自室で幽閉と言うことになった。
ブリューノは近衛兵に牢に連れて行かれることになった。
もちろん国防長官の職も取り消しになった。
アルパモント殿下は議会を招集して国王の罪を公表して王の交代を議会で決めると私たちに話した。
「さてルドルフ。いやアルドルフ。聞いての通りだ。君は赤ん坊の時捨てられた。だが、君は王の血を引く俺の弟だとわかった。そうとなればこの王宮に迎えたいんだ。確かに君を捨てたのは酷い話だ。でも、私は今まで弟がいたことさえ知らなかった。王妃たちは知っていたが言えなかったと思う。何しろ国家の秘密だと言われれば仕方がなかった。そこはわかってやって欲しい。なぁアルドルフ?」
アルパモント殿下がルドルフに優しく話しかける。
「そうよ。遠慮なんかしなくていいのよ。これはあなたの権利なんだから。アルパモントは次期国王としてあなたにそばで支えてもらいたいと思ってるのよ。だからアルドルフ…」
アンナ王妃もルドルフにそれはもう優しく諭す。
「そうよ。私たち黙っていたのは悪かったと思うけど仕方なかったのよ。悪かったわ。だから機嫌を直して。ねぇアルドルフ」
キャロン王妃が。
「ええ、ジャスミンだってきっとあなたが王子になることを喜ぶと思うわ。あのアルフォンと違ってあなた真面目そうだし…そうよ。きっといい王子になれるわアルドルフ」
マリー王妃も。
「俺はアルドルフじゃありません。俺はルドルフでこの名前は誕生日と名前を書いた紙が入っていてルドルフって名前だって神父様が教えてくれたんです。こんなの間違ってます。俺はそんな…王の子供なはずが…」
ルドルフの狼狽えようと言ったらそれはもうどうしていいかわからないって感じで。
わかる。
誰だって、いきなりあなた王子です。だなんて言われたって信じれるはずがないわよね。
ルドルフが…私だけのルドルフが…って私どれだけルドルフ推しなのよ!
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