第15話
抱き上げられ、ベッドへ移動する。
ゆっくり優しく下ろされ、見つめ合う。
優しく甘く、けれど獣のようにギラついた眼差しに、ゾクリと体を震わせた。
「女ってのは怖いよ、まったく……」
苦笑して、グラウス様の顔が近づいて来た。
待ちわびたグラウス様の唇が、私の唇を貪り、温かい舌が開いた部分から滑り込んでくる。
「んっ、ぁ、む、ふっ、はぁ……ンっ……」
「はぁ……甘い、唇だなっ……んっ……」
息をするのも忘れるくらい、大人ないやらしいキスに夢中になる。
長い長い時間、お互いの唇、舌を味わうように、絡まり合う。
キスだけで、私の未熟な体はビクビクと震えながら、小さく何度も達していた。
「ぁっ、んっ、んゃあっ、またっ、イ、くふっ、はぁ、ぅんんン、はぅん、ンんぅっ!」
「んっ、っ、キス、だけでっ、はぁ……どれだけっ、イクんだ? ん? いやらしいっ、体だな……はっ、んっ……」
こんなに気持ちよくて、血が滾るようなキスを経験した事がなくて、雰囲気も助けてか、頭が蕩けそうに真っ白になる。
お互いを貪る中、グラウス様の昂りが体に擦れて、その先を期待してしまう。
もっといっぱい触って欲しくて、太ももを擦り合わせる。
「グラウス様ぁ……もっと……」
「ガキだガキだと思ってたのにっ……このエロさは、反則だろ……勃っちまったじゃねぇか……クソっ……」
前の私ですら見た事がない、男性の昂ったソレは、怖さより好奇心を上回らせた。
はしたないと分かっているのに、ソレが擦り付けられるもどかしさに、自らも求めるように同じく体を擦り付ける。
―――コンコンッ。
耳に届くノックと声に、体が強ばる。
「セレア様、気分はいかがですか?」
ノブを回す音がするけれど、扉が開く気配がない。
「鍵? セレア様?」
私が鍵をするのが珍しいので、扉の向こうでジェードの困惑する声がする。
ベッドの中に入らされ、小さく口付けされて髪を軽く撫でられた後、人差し指を口元で立てて、グラウス様に言われた通り口を閉ざす。
何度かノックがして、ジェードの不安と苛立ちが伝わってくる。
扉へ向かうグラウス様の背中を、緊張しながら見送る。
「グ、グラウス様……何故……」
「開けるのが遅くなってすまない。転んでしまった姫様が泣いている姿を見られたくないと言うので、鍵を掛けさせてもらったんだ。姫様は先程眠られたようで、私も今やっと、握った手を解放されてね。逆に心配かけてしまったようだ、申し訳ない」
さすがと言うか、なんと言うか。
「そ、そうですか。私達従者がいながら、お客人のお手を煩わせてしまい、申し訳ございません」
余裕ある態度で、あのジェードを納得させてしまうなんて。
私なんて、まだ心臓が壊れそうに早鐘を打っているし、熱もまだ冷めてないというのに。
「では、後は私が」
ジェードのその言葉に、自然と体が動いていた。
ベッドから降りて、グラウス様の背中に抱きついた。
「ぅおっ、とっ……」
「セレア様っ!? 何をっ!?」
驚き戸惑うジェードの声と、頭上から聞こえた小さな笑い。
「セレア様、お客様を困らせてはいけませんよ」
優しく言われたけれど、私は拒否するように首を横に何度も振った。
「ははは、私も随分懐かれたものだね。執事君、もう少しいてもいいだろうか? 大事な姫君は、私が責任を持ってお世話するよ」
「はぁ……セレア様がこんなに駄々を捏ねるのも珍しいですし、仕方ありませんね。それでは、お言葉に甘えさせて頂きましょうか。姫様を、よろしくお願い致します。また様子を見に参りますので、何かありましたら何なりとお声掛け下さい」
深くお辞儀をし、ジェードが去っていく。
扉を閉めた瞬間、私は壁に背をつける形で追いやられ、両手をグラウス様の首に巻き付ける。
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