第8話

まだ数回しかしていないのに、私のいい場所全てを把握している。



元々器用だなとは思っていたけれど、彼は何でもそつ無くこなしてしまう人だから、飲み込みも早いのだろう。



「また考え事? 夫婦の大切な時間なのに、一体君は何を考えているのかな?」



「……貴也ひぁんの、こほ……」



「ふっ、真面目だな君は。律儀にエプロン咥えながらとか。しかも考え事は俺の事? はは、まったく……君は、どこまでも可愛い事を……」



嬉しそうにふにゃっと笑う貴也さんが、まるで子供みたいで、この人こそ可愛い。



「嬉しい事言ってくれた、ご褒美をあげないとね」



「ふ、うぅンんんっ!」



股の間に顔を埋め、見てなくても分かるくらい、ぐちゃぐちゃになっているソコを熱い舌が滑る。



舐められて吸われて弄ばれる快感に、思考も体もトロトロに溶けそうになる。



「エプロン、外していいからっ……はぁ……んっ、君のはしたなくて、可愛い声を……俺にたくさん、聞かせて……ン……」



わざとなのか、ジュルジュルと大きな音を響かせて、私の快楽を引きずり出して、全てを丸裸にする。



膨れ上がった突起を転がされ、強く吸われる度、ビクビクと体をビクつかせて何度も達する。



「今の声、すっごくいいね……はぁ……君の声も、仕草も、反応も、君の全部が俺の不能をなかった事にするんだよ。あぁ……もう、限界っ……入れるよ……」



興奮がこっちにまで伝染して、熱くて、倒れそうだ。



「じゃぁ、もっといい声で啼いて……一緒にいっぱい気持ちよくなろうか……」



うっとりとした顔でねっとりと口付けられ、舌を絡め取られる。



力が抜ける。そして、それが分かったからか、ゆっくり貴也さんが入って来る。



「はぁ、んぅっ、はっ……ほらっ、もう少し力っ、んっ……抜いてっ……」



「むっ、りぃ……ぃあっ、んっ……」



まだほとんど入っていないのに、圧迫感が下半身を支配する。



「さぁ……ゆっくり、息っ、吐いて……はぁ、そう、いい子……」



甘やかすように撫でられ、優しく囁かれるだけで、固まった体の力を解きほぐされていく。



素早く貴也さんのモノが滑り込んできた。



「はぁ……ぁっ、ぅ、くっ、入っ、たっ……ンっ……やっぱ、り、狭っ、ぃ……」



「た、かや、さっ……ぅんんっ……」



元々大きいモノが、中で更に大きく膨れ上がって、気持ちいい部分も、奥も、全部を刺激して堪らなくて、あられもない声が出る。



「んぁ……苦しい、とかっ……はぁはぁ、痛いとか、ぁ……くっ、はっ、平気?」



労わるように、動きを止めて肌に触れる。



「動いて、いい? も、動きたいっ……」



「んっ、い、からっ……早くっ、ぁ、動い、てぇ……」



もどかしくて、自ら腰を揺らす。



苦しさは全然ないわけじゃない。けれど、それより快楽を拾い上げたくて、貪欲になる。



「えらくっ、煽るねっ……ぁ……素敵なお誘いだ……くっ……」



「奥っ、欲しっ……あっ、ぅ……」



はしたなく腰を振り、貴也さんにしがみついて懇願する。



ゆるゆると動いていた貴也さんの腰の動きが、段々激しさを増していく。



「あぁ、はぁっ、んっ、こんなに、締め付けて、っ……気持ちいい、のっ? はぁ……」



答えようにも快感が言葉を奪ってしまって、喘ぎしか出ない私は、何度も頷く。



「気に入ってもらえてるみたいでっ、ン……何よりっ……。君を抱けば抱くほどっ、君のここが俺の形になっていくのがっ、分かってっ……たまらなく幸せだよ……あぁ……」



凄く楽しそうで、自分のような存在でもこうやって、少しでも役に立てるのなら、ちょっと嬉しくもある。



貴也さんの体を抱きしめ、与えられる快楽を素直に受け止める。



そして、気づいた事がある。



貴也さんは、体を重ねている最中、何度か私の傷に触れているという事に。



触れてしまったのではなく、自ら触れに行っている。



これがどういう意図なのかは分からない。



ただの気まぐれか、珍しいからか、好奇心か。



貴也さんは、不思議な人だ。興味深い。



ちょっとだけ、この人を知りたいと思った。

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