3バカは青春謳歌の夢を見る ~近未来RPG世界でゲーム進行改変して独自ルート突入します!~
葱猫舞々
第1話 前人未踏、超絶怒濤の自己紹介
イェェェエエエーーーーーイッ!!!
とある芸人を意識した俺の発生の良い大声で皆が振り返る。
そして皆が静まり帰った所、さらに言葉を繋ぐ
「
効果音的な拍手を2回鳴らす。
「身長180cm、体重73キロ、今日の財布の預金残高は300円、カツアゲしてもうま味がねぇ
そして少し間を置く、そうする事でメリハリがつく。
「なんと驚けこの赤いリング、実は幼馴染みからの誕生部プレゼント!肌身離さず持っている、人情に厚く熱い男その男の名はぁぁ!」
ダンッ ダンッ ダンッ
と自分で効果音を口ずさ見ながらボディービルダーのようなポージングを取る。
「つきみさとぅぅぅっぅぅぅっっ!えんじだぁ!!」
最後の決めポーズで左手を腰に手をあて右手を頭上高く上げ決めポーズを取る。
「イェェェエエエーーーーーイッ!!!ジャパァァァン!!」
俺の周りの数名は手を叩いて笑っている。
「ぎゃはは!えんじー、マジでやりやがった。うっせぇ」
笑いながら俺を叩く奴
「おまっ!マジでやるんか」
爆笑して腹抱えてる奴
「えんじー……ヤバすぎだろ、腹痛ぇ」
遠くから俺を見ている奴
他にも色んな奴らが俺に注目している。
そもそも俺が最高のイエーイをかましたのは大富豪でビリになったからだ。
分かるか?最終戦トップ走っていた俺が革命喰らって大富豪から大貧民にクラスチェンジだ。
負けた者の罰ゲームとして前にやった自己紹介をしたまでだ。
クラスメイトの何人かは眉を潜めたり侮蔑の視線を送ってきたりしたがまぁ俺も冷静に考えると何が面白いのか全くわからん。
とりあえずあるべき事を実行したまでだ。
「ってかお前、マジで300円」
「そうだぞ。なんか奢れよ」
「いや、仲間だなって」
「おまえもかよ嘉数。死ねよ」
「ってかそれ清水さんの誕プレなんだな」
俺の右手首にある赤いシリコーン製の腕輪のことだ。何かしら付けている事で体調が整うらしいが嘘くさい。
「そうだぞ。うらやましいか?」
「言い値でいいぞ」
「売らねぇよ」
そんな何気ない会話をしているとチャイムがなる。
周りの奴らもそれに反応してじゃっと手を上げて自席に帰っていった。
-
学校が終わると色々と誘いがあるが一旦断って家に帰る。今日は俺が料理担当の日だ。
進入禁止のホログラムが出ているちょっと手前で電車を待つ。
ふと視線を感じ隣を見たらウェーブがかった黒髪の色白女子が当たり前の様に俺のパーソナルスペースを侵害する。
まぁその髪が見えた時点で誰かは分かる。
「
「何も珍しく無いでしょ。互いに帰宅部、家は向かい。親同士も幼馴染み。いえぇぇい、ジャパーン」
「なんだ、あれ聞いてたんか」
「誰でも耳に入るでしょ普通。……それに人の誕プレ自慢しないでよ。しかもそれ中1の頃の奴でしょ」
「毎年もらってる奴は
「えっ……何それ?心にしまってるって事?」
「実物。小3の時にもらったお菓子詰め合わせの袋もしっかりと保存してるぞ」
「っえ”ガチキモい、ちょっと近寄らないで」
シッシッと私を見るな的な挙動をしてくる。近寄ってきたのはお前だと言うツッコミは心の中にしまっておいて。
俺は短めに鼻で息を吐きつつあいつを無きものと考え電車を待つことにした。
……あっ。忘れてた。そういや
しかし駅に入っちまったしな。電車降りたあと
そんなこんな考えているとアナウンスが流れ、電車がやってくる。
乗り込み電車が動き出すと向かいの窓越しから見えるビーチが見えてくる。ちょうど日が海に落ちる所だ。
夕日の
MRサングラスから鳴るパシャパシャ音、多分観光客だろう。
俺は見慣れているが海岸線には
この電車も海岸線を走るから時間帯によっては人が多く居るわけで今日も座れず適当な場所でつり革に捕まる。
皆太陽を求め光合成よろしく
とりあえず近場にあるスーパーのキンシュウに入る。
「……」
何故か俺の隣に居るこいつはなんなん?さっき近寄らないでとか言ってなかった?
とりあえず触れないとどこまでもついてきそうだから触れることにした。
「何でいんの?」
「えっ、家と変える方向違うしブルースカイアイス食べるのかなって思って」
「食わねぇよ。俺の財布160円しかねぇっての」
「ジュース飲んでんじゃないよ」
は?何言ってんだこいつ。昼に飲むライフカードは必須だろ。
「でっ?ブルースカイじゃなかったらキンシュウ?はーなーからの夕ご飯の依頼と見た」
なんでこいつそんなに鋭いんだ?
「その通り。今日のご飯はカレーだ」
「なるほど」
そう言うとこの女はコメカミを2回タップして何も無い空間をなんか操作し始める。
いきなりレティナ使い始めて何やってんだ?
スイスイと指を動かす様からどこかに連絡をしている様だ。
「よし」
勢いよく人差し指を空振りさせた。なんかッターンって音が聞こえたような気がするがどうやら終わったみたいだ。
「私もカレー食べる」
「は?何言ってんだこいつ」
おっと、
「もうパパとママにも伝えてるしはーなーにも伝えてるかんね」
こんな短時間で何でこいつこんな複数人とコミュニケーションとれんだよ。
「あ、ついでにアレ見せてよ。心の宝箱ってやつ」
さっきあんだけキモがってなかったか?女子というのは感情の切り返しがどこに飛ぶのかよく分からんな。
「さっきあんだけキモがってたやろが」
「まぁ
「ちなみに
「なーんだ。ただの気持ち悪い趣味だったか……」
イチイチ攻撃力強くね?
「それよりならさっさといくぞ」
「……っていうかさ、一応確認なんだけど材料用のお金持ってるよね?」
そんなの持ってるに決まって……??
ポケットを探ったがそんな物はない。あれ?なんで?
思い返すとその代金を玄関に置きっぱなしにしていた事が判明する。
うーん
「……」
「持ってるよね?」
「ま、今日は
はぁ~と深いため息をつかれる。そんな失望しなくても良いだろ
「『借し』だからね?」
「オーケーケー、後ほど返済いたします」
「いったからね?」
もう一度言おうにたぁって笑った。
これが意味するのは俺はとてつもない面倒事に巻き込まれると言う事だ。
いやだがしかし……帰ってから花火の失望を買うよりマシだった。
「なんでもござれよ」
諦めの心境になりそう呟いた。
「よっしゃ、それじゃしゅっぱつぅ~」
笑顔になる彼女のその表情と橙色に輝く夕日の光がやけにマッチしててムカつくぐらいに映えていた事は当人には言わないようにした。
-
家の玄関を開けるとショートヘアの見慣れた妹の
既に制服から着替えており、部屋着のオーバーサイズのパーカーを着ていた。
それ下見えないけどちゃんと履いてるよね?
「にぃさん。お帰り。今日もしかして夕食の材料のお金忘れた?」
帰宅早々ショータイムとはしゃれ込んでるな
「だよねぇー、こいつさぁ~たまたま一緒にいた私に金出させたんだよ?酷くない?」
俺の後ろから入って来た
……何も言うまい。根本的に悪いのは俺だ。
「ふふ、ねぇさんも2日振りじゃないですか?」
「そりゃ、はーなーの顔が見られなかった2日間は寂しかったなぁ~」
そう言って
「そうそう、借りの話なんだけど……」
えっもう?貸し借りはしねぇタチなんだよって位早い借りの返し要求だな。
嫌々後ろを振り返るとニヤッとした優花がさらに言葉を紡ぐ。
「私、2日ぶりにはーなーと色々と話したいの。あんたがカレー作ってよ」
もとから今日は俺が料理担当である事は伝えない。
あぁ人からただで借りを返済するのはとても気持ちいいなぁ~
「……別に良いけど」
「よし決まり!それじゃはーなー!部屋行こ部屋!」
とりあえず俺も自分の部屋で着替えてさっさと台所に向かう。
適当にタマネギとにんじん、豚肉とジャガイモを適量な大きさに切って鍋に全部入れ、無糖の缶コーヒー350mlを1本、六角散のど飴を2個、ケチャップを適量。
あとは適当にルーを入れて水で材料が全部浸るくらいまで入れて、自動調理器のスイッチを入れる。
これであとは1時間弱待つだけだ。火を使わないから自分の部屋で漫画読んでてもOKだ。
さっさと台所の片づけ、部屋に戻ると先客が2名
「え~っはーなーこんなのあげたんだ~」
「はい、それは小学3年生の時のバレンタインの包装紙ですね」
「誕生日だけかと思ったら結構エグい集め方してるのねあいつ……ひくわぁ……」
「人の居ない間にプライバシー侵害してくるのはひくわぁ……」
「あれ!?帰ってくるの早くない?」
「料理なんて今や自動調理だろ」
「うっ、そう言えば
「で?俺の心のプライバシー侵害がされたわけだが?」
「それ含めて借りっていったのよ」
なるほど、そう来たか。
「まっ他人から見たらつまらん物しか入ってねぇし見られても困らねぇけど」
「炎司さぁ、この割り箸もしかして小3の遠足の時に忘れたときにあげた割り箸だったりする?」
「そうだが?」
「あんたゴミ屋敷を生成する才能ありそうね」
「流石にゴミの分別は分かるっての。重要なのは思い出と物の紐付けよ。お前だってその割り箸あったから思い出せたんだろ?」
「ほぅ、続けて」
なんか腹立つな
「俺たちは今は同じ道だけどいつかは別々の道に行くだろ。そんなときこの箱を見たら『あぁ、そういや優花とこんな事あったな』ってのがある訳で頑張ろうって気持ちが湧いてくる訳だ。家族の写真見て頑張ろう的な」
「ちょっ、
「っとにぃさんは言っていますが要するに『厚意でくれた物は思い出の依り代なので捨てられない』と言う事ですね。にぃさん、先ほどの発言はねぇさんでもちょっと意味深に捉えられる可能性がありますので注意してくださいね」
「おっ、おう。その通りだ
「……」
何故か
「時ににぃさん。カレーは作られた様ですが炊飯器は大丈夫なのでしょうか?」
「あっ」
完全に忘れてた。このままではカレーは飲み物になっちまう。
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